海石榴市の万葉歌

    紫は 灰さすものそ 海石榴市の 八十の巷に 逢える児や誰(巻12-3101)
(紫は灰をさして作るもの、その灰を作る椿にちなんだ海石榴市の八十のちまたで 出会った美しい娘さん、あなたはどなた?)

たらちねの 母が呼ぶ名を 申さめど 道行き人を 誰と知りてか(巻12-3102)

(たらちねの母が呼ぶ名を申しあげてもよいのですが、行きずりのあなたのことを、どなたと知った上でわが名を申しましょうか。)

     海石榴市の 八十の巷に 立ち平し 結びし紐を 解かまく惜しも(巻12-2951)

(海石榴市の、人々が集まる八十のちまたで、道を踏みならして歌垣をしたとき、あの人が結んでくれた紐をほどくのは、本当に惜しいこと。)


椿山から奈良盆地を望む。左から香具山、畝傍山、耳成山の大和三山が見える。遠くに葛城・金剛の山並みも。4月初旬の眺めで山桜が満開。


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