B’ウェーブ
(B' Wave)
★現象
四枚の青裏のカードがあります。実はこれの四枚はすべてクイーンです。そのクイーンのうち一枚を観客に選んでもらいます。すると、最後に残った一枚だけが表向きになっています。さらに、その一枚だけが赤裏のカードで、残りの三枚はまっ白のフェイスになってしまいます。
★解説
フィル・ゴールドシュタイン師(マックス・メイビン/マックス名人)の名作パケットトリックです。パケットで行うブレインウェーブデックと思ってもらえればわかりやすいと思います。
正直なところ、買ってすぐ「しまった…」と思ったネタです。
が、演じるほどにウケがいいのと、導入のコツをつかむ練習になるのとで、今では手帳に挟み込んでいつでもできるようにしているくらいです。
解説にはなかったと思うのですが、最初にエルムズレイカウントを使っています(※この点、下記参看)。
手順さえちゃんと理解していれば、それ以外にテクニックは不要です。
なお、このトリックの改案としては「ツイステッド・シスターズ」(ジョン・バノン師)があります。
※エルムズレイ・カウントを使用することについてのご質問をいただきました。
その回答として、私見を下に加えました。興味のある方はお読みになってください。
★相性のいいアイテム
名作というほかありません。神秘的な雰囲気で、ゆったりと演じるべきマジックです。
あまり他のマジックと一緒に演じて、印象をぼやけさせてしまいたくありません。
なので、ちょっと一服という場面や、晩餐のあとの余興に、という場面で演じたいマジックです。
★価格帯
店名 | 価格 | 日本語解説書 | 所在地 |
謎屋 | 2500円 | ○ | 大阪 |
THE MAGIC WAREHOUSE | $9.00 | ▲ | アメリカ |
Hank Lee | $10.00 | ▲ | アメリカ |
★評価
技術 | ★☆☆☆☆ |
練習 | ★☆☆☆☆ |
効果 | ★★★★☆ |
追記:エルムズレイ・カウントを使うわけ
解説書の手順だと、四枚のカードを束ねた状態でテーブルに置き、それから演技を始めます。
それだと四枚のカードがどういう状態なのか、観客にはよくわかってもらえていないんじゃないか、という点が気になり、
そのため、最初に裏向きのエルムズレイ・カウントを行って、それから始めることで、オープニングの状況を明確にさせました。
さらに、エンディングの「一枚だけが赤いカードになっている!」という現象を際立たせているつもりです。
この場合、ギミック部の位置が重要になってくることは言うまでもありません。
また、セリフも少し変更する必要(青いカードが赤くなった必然性について)があります。
(わかりにくい文章で申し訳ありません)
追記:それだと「色の変化」のマジックになるのでは?
このようなご指摘を頂きましたので、少し私見を述べることにいたします。
B’ウェーブの本質は「観客が自由意志で選択したカードのみが表向きになっている」というところにあると言えます。
それこそが、このトリックがメンタルマジックである所以だと考えます。
それ以外のカードがブランクフェイスであったり、選択したカードのみ裏の色が違う、という現象は、その本質を彩る演出という次元で捉えるべきでしょう。
とすれば、本質的な部分の変更――その時点ですでに「B’ウェーブ」ではなくなると思いますが――さえしなければ、あとは演出の次元の問題であって、メンタルマジックとしての本分を誤ることはない、と判断しています。
さらに追記:事実誤認についての自己批判
その後、「メンタルマジック」というもの自体にかかわるご指摘(ss_tmpさん)をいただきました。
「知覚できない筈のものを知覚する、というのがメンタルマジックmentalismの本質」であるという趣旨でのご指摘でした。
わたしはメンタルマジックを「超能力風のもの」として漠然と認識していたのですが、このご指摘をうけて、自分の認識不足を痛感いたしました。
さらに別の方(トヒさん)から、
>「メンタル(心理的な)マジック」と「サイキック(超心理的な)マジック」との違いなのかな。
>多分「(自称)超能力者がやって超能力として受け入れられること」の部分集合なのではないかなとか思ったり。
とご意見を頂くに至って、わたしの誤認は自ずから明らかになりました。
エルムズレイ・カウントを行っていてもそれはメンタルマジックとしての本分をはずれない、という認識のものであったのですが、
しかしながらこの行為によってこのトリックはメンタルマジックではなく、普通のマジックになってしまっていたのでした。
この点、不明を恥じるとともにご指摘いただいた方々にお礼を申し上げます。
ありがとうございました。