光溢れる森の中を、青年はゆっくりと進んでゆく。
何かに導かれるように、確かな足取りで。

手にするのは、不思議な光を静かに湛える一振りの剣。
つい先程までは、使いものにならないほど錆付いていたとは思えない剣。
かつてバンドール帝国の野望を打ち砕いたといわれるその剣は、持ち主を自ら選ぶのだという。
その剣が、自分の手の内で輝きを蘇らせたことに、彼は今だ疑問を拭えないでいた。




―――僕は、何のために戦う?




世界を救うため。
そんな大それたことは、思っては居ない。
皆は自分のことを"最後の希望の光"だなどと言うが、そんな立派なものではない。




―――僕は、誰のために戦う?




水の流れ落ちる音が聞こえて来た。

やっと、辿り着いた最後の地。
恐らく、この後待ち受ける戦いが、最後の戦い。
青年は剣を握り締め、そっと目を閉じた。






「僕が、戦うのは――――。」





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