どらやき。


りとるれでぃ。 第一話





2月6日。

外は相変わらず寒いわ。
だって雪が降ってるんですもの。
だからお部屋でご本を読んでいたの、「赤い水溜まり」って本なの。
このご本とても大好き。女の子が笑いながら水溜まりの上で踊るの。
でもさすがに飽きちゃうって気持ちもあるわ。だって他のご本持ってないもの。

昨日ね、友達のセイコちゃんが新しいご本を幼稚園に持ってきてたの。
クマさんと犬さんのお話でとても面白かったの。それでね、私それが欲しくなっちゃったから
私もママに買ってもらおうって言ったの。
そしたらね、そのご本はセイコちゃんの持っているので売り切れだったらしいの。
悲しいわ、だから1日だけセイコちゃんに貸して欲しいってお願いしたの。
でもセイコちゃんすごくお気に入りだって貸してくれなかったの。
悲しいわ。私は汚さないし綺麗に使うってお約束したの。
でもねそれでもダメだっていうの。


私ね、悲しくて悲しくて、悲しくて…それでも貸して欲しかったの。

だからね、貸してくれるまでずっとお願いしたの。ずっとしたの。

ずーっとお願いしたらね、セイコちゃん貸してくれたの。

でもね、貸してくれたご本は汚れてたの。
今日図工のお時間があったからね。赤色の絵の具がついちゃってページがめくれないの。
お気に入りのご本が汚れちゃって、セイコちゃん泣いてたの。
セイコちゃんのお洋服も絵の具がついちゃってて大変だったの。
私、セイコちゃんを悲しませちゃった。
だから私のハンカチで服をふいてあげたの。

ご本も汚れちゃったの、ごめんなさいってあやまったの。

セイコちゃん、泣きながらどこかに走っていっちゃったの。
私、わるいことしたわって思って追いかけたの。


追いかけてあやまったの。


許してくれるまであやまったの。


ずーっと、あやまったの。


どれくらい謝ったか忘れちゃった。

そしたら先生が走ってきたの。
私、セイコちゃんを悲しませて怒られるって思ったの。
だから、私も泣いちゃったの。
先生、私が泣いてるからおどろいたのかな?
先生の顔、見たこと無いくらいおかしな顔してた。
そのまま先生が来てセイコちゃんをだっこしてどこか行ったの。
セイコちゃん、途中で疲れて眠っちゃったらしいの。
だって、ゆすっても起きないんだもん。
もう、ねぼすけさんなんだから。
ちよっとおかしかったわ。
次の日セイコちゃんはお休みしたの。
きっとまだ眠いってタダこねてるんだろうなって思ったの。
そう思うと少し笑っちゃったの。
そしらね、また先生がおかしな顔するの。



へんなせんせい。