どらやき。


りとるれでぃ。 第七話








二人の関係が激化する昼休み。
幸か不幸か、昼休み終了を知らせるチャイムが二人の一時にも終止符を打った。
これ以上、続きが行われなくて良かったのか。
それとも、先延ばしにしてはいけなかったのか。
二人は口を閉ざしたまま別れた。
一人は怒りの感情を露わにし、もう一人は当初のような笑顔で………




廊下を一人歩くハクラ。
その顔は満面の笑み。
だがハクラの笑顔は何かをたくらむ前兆。
教師、クラスメイトにとっては不吉この上ない。
そのくらい、今の彼女の心は『楽しみ』で満たされている。




おもしろい


それは心の底から出てきた素直な感想。


『おもしろい』


アリスが見せた今日一日の、ほんの数十分の素顔。
噂ではなく、演技でもない。
亞璃守アリスの本当の『姿』
それら全てを一言に集約する。




『汚れる』という事を知らない人形。

『可愛い』ままの人形。

『愛される』ためだけの人形。



それが最初の感想。
可愛い、綺麗、認めよう。
だけどそれ故に、つまらないと感じてしまう。
何がつまらないか。
子供のハクラには理解できない、むしろ『それ』を表す言葉をまだ知らない。
漠然と、『なんとなく』気に入らないのだ。
その言葉を吐いた時点でハクラのアリスへの興味は終わっている。
ただの同じ学校の生徒、いや…むしろそれ以下。

好きではない部類にすら入る。

しかし、その決定事項をアリスは覆した。
周りの噂からかけ離れた剥き出しの感情。
あれが恐らく本当の亞璃守アリスという人間。

楽しい。そして嬉しい。
他の誰も知らない、彼女の本当の姿。
私だけが知っているアリス。

もっと知りたい。

もっと、もっと…

他の誰よりもアリスを知りたい。

そして知って欲しい。私を。








〜つづく〜










 

= あとがき =

この気持ち、まさしく愛だっ!!
というやつ。

―葉桜