どらやき。


 SUMMON NIGHT SS #01

〜お酒が与えた小さな勇気〜





どうしてこうなったんでしょう…


ここは私の部屋です。

机とベッドしかない簡素な内装になってます。

まぁ、それほど趣味といえるものも無いのでさしあたって不自由はしていません。

机の上には作りかけのテストと明日の授業で使う教科書。

ベッドには私がいつも着ている服がたたんで置いてあります。

明日着るので…。

ここまでは普通です、さして可笑しいところはありません。

問題はここからです。

まず床、ぐちゃぐちゃです。

お酒の瓶、おかし、服、この部屋はこんなに狭かったかなと思いたくなります。

そして私の横にはアズリアが。

ただいま夜の一時を回ったところです。いつものアズリアならこんな時間に

リペアセンターの外にでることはありません。根が優等生なので(笑)

だから私が夜遊びに行っても邪険に追い返すんですよ。

でも、今夜のアズリアは違います。

頬を紅く染めて、虚ろな目をして、服がはだけても気にしないで…



ぶっちゃけて言うと、すごい勢いで酔っています。



事の始まりは四時間前。

カイルさん達が珍しいワインを手に入れたということから始まりました。

何でも滅多に手に入らない年代のワインだそうで今夜初めてあけるということでした。

で、ワイン一つだけではしょぼいと言うので適当なお酒を見繕っていざ飲むのか…と思いきや

もっと人数がいたほうがいいと言うことで急遽集落4カ所をみんなで回る事に。

メイメイさんは呼ぶとすごいことになってしまいそうだったので今回は呼ばないことに。

ミスミ様はゲンジさんと月見酒ならぬ月見茶をしていたので辞退、キュウマさんは修行がどーとかで

同じく辞退。

ファリエルはもう寝ちゃってたのでそれに付きそうフレイズも辞退。

ヤッファさんは来るだろうと思っていた。

事実、ヤッファさんは飲みに来る気満々だったのだが、お昼間にもお酒を飲んでいたことが

マルルゥにばれて渋々辞退。

最後にラトリクスです。

アルディラさんは何でも今夜中に片づけたい仕事があるそうで渋々残念。

クノンも同じ理由から辞退。

最後にダメもとでリペアセンターに寄ってみる。

あの二人が参加するかどうか正直不安だった。

が、


「わかった、行こう」


すんなり決まった。

ただしギャレオは下戸という理由でリペアセンターに残った。

そんなことより私はアズリアが参加してくれることが嬉しかった。

朝からお昼までは学校があるしお昼からは島の周りを歩き回らなきゃいけない。

夜になれば部屋へ帰れと追い返される毎日。

正直私の身体はアズリア分なるものがものすごく不足しているのです。

本当なら毎朝寝顔を眺めたり、一緒にお昼食べたり、アズリアのために晩ご飯作ってあげたり、

一緒にお風呂入ったり、一緒のベッドで寝たり………と言い始めればキリが無い。

無論、いまあげたアイデアは全ては却下されてきたわけなのですが。



飲み会が始まって私のテンションはますます上がっていく一方です。

カイルさん達はお気に入りのワインを飲めて嬉しかったのか早々に引き上げてしまった。

アズリアはそんなに一気に飲む人じゃないのでまだまだ余裕がありそうです。


「私の部屋で、二人で飲みませんか?」


「そうだな…」


とはいえこの時すでに少し酔っていたらしい。

いつものアズリアならこんなに簡単に私の誘いをうけるはずありませんからね。

開けていないワイン数本と手をつけていない料理を持って私の部屋へ向かう。

部屋の窓をあけると涼しい風と波の音が聞こえてくる。


「海から吹く風は気持ちがいいな」


そういいながら微笑みかけてくるアズリアがとても綺麗だった。

それから先はよく覚えていない。

お互いたわいもない昔話に花を咲かせワインを飲んで、料理を食べる。

そして気が付けばこのありさまである。


私の横には肩に頭をあずけてもたれかかってくるアズリア…

顔を向ければ吐息が重なる。

私の頬もいますごく紅いんだろうな…

アズリアの服がはだける…虚ろな目で私を見つめる…


「アズリア…」


私はアズリアをそっとベッドに押し倒す。

アズリアは何も抵抗しなかった。

私をやさしく抱きしめてくれる。

これがアズリアの暖かさ…

暖かい…そしてこれがアズリアの香り。

それに比べれば今まで飲んでいたワインなんて小さなもの。


「アティ…」


彼女が私の名を呼ぶ…

全身が震えた。それは何気ない、ただ名前を呼んだだけ…

それなのに…その一言が私の最後の理性を外させた。


「アズリア…好きです」


報われないと知っていても止められない…

この想いを抱いたまま生きるのは枷だ。

それでも近くにいれるのならそれもよいと思っていた。

アズリアのそばでいられるならこの枷をつけて生きていけると。

でも、こうなってはもう押さえきれない。

明日が怖い…

明日顔をあわせるのが怖い。

このまま酔って覚えていなければいい…

そうすればいままで築いた全てが崩れることはない。


「アティ」


アズリアが私の頬を両手で優しく包む。

アズリアの表情はどこまでも穏やかなものだった。


「何故、そんな顔をするんだ…」


少しアズリアの顔が暗くなる。

私…顔に出てたんだ…

まぁ、こんなに頭の中ぐるんぐるんしているんだからいまさらポーカーフェィスなんて

できやしないけど。


「私が、お前を拒否すると…思ったのか?」


身体が跳ねる…同時に表情が暗くなるのが自分でわかる。

そんな私をアズリアは優しく抱きしめてくれた。


「そんな顔をするな、私だってお前のことが…」




……………




アズリアの顔がほのかに紅い。胸の鼓動が伝わってくる。

お互いを優しく抱きしめる。


「アズリア、大好きです」


「私もだ、アティ」




私の中があなたで満たされる。

うみから吹く風は、どこまでも優しく、

そして、暖かいものだった。





〜おわり〜









 

ぇーと、ギャグのつもりで書いたんですが…
見事にギャグじゃないですね…
まぁ、いいんです。アズアティらびゅー(>▽<)