ここは 奈良県国際識字年推進計画(1994年)
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1998年5月27日作成

 国際識字年の推進にあたって

−奈良県国際識字年推進計画−  1994年 奈良県



はじめに

奈良県知事


 国際連合は1990年を「国際識字年」と定め、「2000年までにすべての人々に文字を」というスロ−ガンのもと、ユネスコを中心として長期的な取り組みを始めました。
 ユネスコの統計によると、非識字者の多くはアジアやアフリカなどの発展途上国と呼ばれる国に住む人々ですが、アメリカやイギリス、フランス等の国々にも多くの成人非識字者の存在が報告されています。
 わが国でも、差別や貧困、障害等により、教育の機会均等が保障されず識字教育を必要とする人々が数多くいます。
 本県では、識字問題を基本的人権の保障にかかわる重要な問題であると認識し、様々な施策を展開してきましたが、国際識字年を契機に「奈良県国際識字年推進会議」を設置し、識字問題の解決に向けた施策のより効果的な推進に努めています。
 このたび、識字問題を解決するために、行政が取り組む基本理念として「奈良県国際識字年推進計画」を策定しましたが、行政政策だけで解決できる問題ではありません。今後、この計画に基づく施策の推進にあたっては、関係団体や県民の皆さんのご理解とご協力が不可欠でありますので、それぞれの立場で積極的に取り組んでいただきますようお願い申し上げます。



  基本認識

<識字問題とは>


 「識字」とは、人間の文化の中で作り出された文字や数字など記号を使える能力をいい、反意語として「非識字」が用いられます。
 具体的に言えば、「非識字」とは、日常生活」レベルでの文字や数字の基本的な読み、書きなどが十分にできないことをいいます。
 「識字」は社会生活を営むうえでの基礎となるものであり、識字問題は、基本的人権にかかわる重要な問題です。


<識字問題をめぐる世界の状況>

 国際連合は1990年を国際識字年(International Literacy Year)と決議しました。そして、2000年までの10年間に、世界のすべての人々が非識字の状態を克服するため、すべての国、国連の専門機関、地域委員会、その他の組織、関係する政府間組織、および非政府組織(NGO)の力を結集することが約束されました。
 1990年のユネスコの統計によると、世界では約9億6千万人(15歳以上の4人に1人)の非識字者が存在し、そのうちの3分の2が女性であるといわれています。また、就学年齢に達したにもかかわらず、就学していない子どもたちが1億人以上いると推定されています。


NGO(Non-Governmental Oganization)
 人権、女性、高齢者、難民、教育、環境など、地球的規模の問題に取り組む、非政府・非営利の国際協力組織をいう



<識字問題をめぐるわが国の状況>

 わが国では1990年の国勢調査によると、15歳以上の義務教育未就学者は約22万人で15歳以上の人口の0.2%となっています。また、1985年の総務庁統計では、同和地区で15歳以上の人口のうち、文字が「全く書けない」「カナなら書ける」人の比率は7.0%といわれ、その多くは60歳以上に集中しています。
 差別や貧困、障害によって教育の機会が保障されなかった人々、また外国からの引揚者や在日外国人等で識字教育を必要とする人は数多くいます。


<識字問題をめぐる奈良県の状況>

本県における識字活動は、1967年「部落解放同盟第12回全国婦人集会山口大会」を契機として、御所市での取り組みが始まりました。その後、県内の各市町村で同和地区識字学級の開設が進み、1994年6月現在、19市町村の46学級で約900人が学んでいます。
 また、県内には3つの中学校夜間学級があり、差別や貧困、障害などによって教育の機会が保障されず、義務教育を未修了となった人たちが、合わせて約250人学んでいます。
 今日、本県では約1万人が外国人登録をしていますが、この中にも、識字教育を必要とする人々がいます。


<識字問題の解決に向けて>

 「識字」は社会生活を営む上での基礎となるものであり、識字問題は、基本的人権に関わる重要な問題です。
 識字問題を解決するためには、非識字者が学習できる機会を保障するとともに、県民一人一人がこの問題についての正しい理解と認識を深め、差別のない、真に人権を尊重する社会を築くことが大切です。
 本県においては、こうした認識に立ちさまざまな取り組みを進めてきましたが、今後市町村とも連携し、さらに継続的、系統的な取り組みの充実を図る必要があります。



推進計画

1 県民に対する啓発活動の推進


 識字問題を社会全体の課題としてとらえ、すべての県民が識字問題を正しく理解し、認識するための啓発活動を積極的に推進します。

(1) 識字問題に対する啓発集会の開催
 「2000年までにすべての人々に文字を」という国際識字年の趣旨を徹底し、その実現に向けての取り組みを進めるため、「識字の集い」を開催します。

(2) 各種媒体を活用した啓発
 各種広報誌、テレビ、新聞などを活用し、すべての県民が識字問題について理解を深めるための啓発に努めます。

(3) パンフレット等を利用した啓発
 識字問題啓発パンフレットなどを作成し、配布することによって、すべての県民が識字問題について理解を深めるための啓発に努めます。

(4)研修会などを活用した啓発
 件が実施する各種研修会において、識字問題の位置づけに努めるとともに、市町村、各種団体及び企業等が実施する研修についても連携してすすめます。

(5) 資料の収集
 識字問題を正しく理解し、認識するための啓発資料(16mm映画、ビデオ等)の収集に努めます。


2 識字教育の推進

 識字教育は、基本的人権の保障にかかわる重要な取り組みであり、識字問題の解決にむけ、識字学級等により識字教育の推進に努めます。

(1) 同和地区識字学級の充実
 識字学級指導者・市町村担当者研修会等を開催し、学習内容の充実や指導者育成に努めるとともに、より効果的な学習内容とするため、識字学級用テキストを見直します。また、識字学級の活動状況の情報交換や相互研鑽をを図るための識字学級交流会の条件整備に努めます。

(2) 学校教育における取り組み  教職員、児童生徒に対し、識字問題について理解と認識を深めるとともに、基礎学力の向上に努め、非識字者を生み出さないための取り組みをすすめます。また、義務教育未修了者に教育の機会を保障する中学校夜間学級の充実に努めます。

(3) 中国からの引揚者対策の充実
 中国からの引揚者を対象に、日本語の拾得や日常生活の指導等を実施している日本語講座の充実に努めます。

(4) 在日外国人に対する日本語講座等の充実
 在日外国人を対象に実施している日本語講座等の充実や、外国人に対する生活相談サ−ビス事業の推進に努めます。


3 公務員としての意識向上

 すべての公務員が識字問題に関わる研修会等に参加し、この問題を正しく理解、認識するように努めます。また、日常の業務において、識字問題が存在することを常に認識し、各種行政サ−ビスの向上に努めます。


4 各種機関・団体との連携

 識字問題の解決に向けて、さまざまな取り組みが必要です。これらを効果的に推進するために、各種機関・団体との連携・協力を図り、識字問題の解決に向けた取り組みに努めます。

− 以上 −


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