ここは 「人権教育のための国連10年」 奈良県行動計画 第2章
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1998年7月3日作成


「人権教育のための国連10年」 奈良県行動計画 
第2章 奈良県の人権に関する
教育・啓発の現状と課題


 本県においては、1995年(平成7年)3月、県民すべての生活の安定と福祉の向上のために、県政運営の基本指針として奈良県新総合開発計画を策定し、社会の変化と県民のニーズに対応して、各分野で行政施策を推進しています。この計画では、「心の豊かさやゆとり、生きがいが感じられる」、「多様な選択が得られる、個性を大切にする」、「人と人とのふれあい、コミュニケーションを大事にする」など、人権教育にとっても大切な大切な基本理念を設定し、県民の社会参加や自己実現の機会を提供するため、生涯学習社会の構築や男女共同参画、福祉のまちづくりなど、人権を基盤とした諸施策を推進しています。また、同和問題をはじめ、女性、子ども、高齢者、障害者、外国人、HIV感染者等に関する人権問題の解決は重要な課題として、これまで各種の施策を講じてきました。
 特に、同和問題については、1948年(昭和23年)に環境改善事業に着手し、1950年(昭和25年)には奈良県同和問題研究所を設置するなど、半世紀にわたり県政の主要施策として同和対策事業を推進してきました。
 教育に関しては、1952年(昭和27年)に奈良県同和教育研究会が結成され、「差別の現実」に学ぶことを中心的課題として取り組みが始められ、以来、多くの人々によって、すべての子どもたちに部落問題についての正しい理解と認識を培い、部落差別をなくしていく力量を育てる研究と実践が重ねられてきました。1963年(昭和38年)には、地域社会における同和教育を進めるため、奈良県同和教育推進協議会が結成され、住民主体の活動が組織的に取り組まれています。県としても、1953年(昭和28年)には、県教育委員会に同和教育担当指導主事を配置するとともに、就学奨励補助金交付制度を創設しました。また、1966年(昭和41年)には、「同和教育の推進についての基本方針」を公示し、同和地区児童生徒の進路保障と同和地区住民の教育・文化水準の向上、さらには、差別をなくす意欲と行動力を持った人間の育成を図ってきました。現在、同和教育、部落差別のみならず、さまざまな差別をなくし人権意識の向上を図る営みとして、人権教育の実践へと展開されています。
 啓発に関しても、県では同和問題についての県民の正しい理解と認識を培い、その解決に向けての意欲と行動力を高め、人権侵害を許さない環境を醸成するため、啓発パンフレットや指導者用テキストの発行、県広報誌や新聞・テレビ等の活用など、積極的な活動を進めてきました。1988年(昭和63年)には啓発活動の連携と充実を図るため、市町村同和問題啓発活動推進本部連絡協議会が設置され、「毎月11日は人権を確かめ会う日」の提唱などの取り組みが進められています。
 市町村においても、市町村民集会の開催、各種研修会の実施など、地域の実情を踏まえた同和地区内外の教育・文化活動が積極的に推進されてきました。市町村同和教育推進協議会や行政が連携し、住民を対象とする地区別懇談会の開催なども行われてきました。同和地区住民の願いから始まった識字活動においては、各市町村で同和地区識字学級の開設が進み、現在、多くの人が学習しています。差別や貧困、障害等により、教育の機会が保障されず義務教育が未修了となった人たちが学ぶ場として、夜間学級も開設されています。 このような取り組みにより、若年層を中心とした就労における職域、職種の広がり、部落差別に起因する長欠・不就学の解消、高校・大学進学率の向上などの成果をあげてきました。また、高校・大学進学奨励資金制度の確立、近畿統一応募用紙の策定による差別選考の解消など、すべての児童生徒の教育権あるいは就職の機会均等の保障としての成果も収めています。
 女性問題については、1976年(昭和51年)に県行政窓口を設け、婦人問題啓発フェスティバルの開催や啓発情報誌の発行など、各種事業を実施してきました。1997年(平成9年)2月には、「女性の権利は人権である」との認識のもと、「なら女性プラン21」を策定し、男女共同参画社会の実現に向けた総合的な施策を示しています。
 子どもの人権に関しては、就学前教育の充実に努めるとともに、権利の主体者としての子どもの生活権及び教育権を保障し、自尊感情や自己表現力、社会生活への適応力などを培う教育活動を進めています。
 高齢者の社会参加活動への支援、障害児教育と障害者の雇用促進、1986年(昭和61年)に示した「在日外国人(主として韓国・朝鮮人)児童生徒に関する指導指針」に基づく在日外国人教育、外国人への日本語教育、HIV感染者の医療・健康相談などの施策を実施する戸ともに、すべての人々の人権が守られるように啓発活動も展開しています。
 このように、人権に関する本県の教育及び啓発活動は、学校、地域社会、職場などで、多くの人々や機関・団体によって取り組まれ、その結果、人権問題の解決に向けた取り組みは一定の前進をみることができましたが、まだ多くの課題が残されています。同和問題をはじめとする人権問題において、依然として差別事象が見られ、その内容も悪質化・陰湿化する傾向にあります。ニューメディアによる差別事象も起こっています。学校においては、いじめ問題等人権にかかわる諸問題が生じており、児童生徒の個性の重視、児童生徒と教師との信頼関係の醸成などの課題があります。家庭においても、子どもの人権が十分に認識されず、人格の形成や社会生活への適応が図られていない側面もみられます。地域社会においても、多様な県民のニーズや生活様式の変化のなかで、日常的な人権意識の定着に向けた学習の機会と情報の提供が必要になっています。
 これまでの学習や啓発の内容と手法については、それぞれに工夫を加えながら進められていますが、知識と理解にとどまりがちで、自らの問題としてとらえられていない面や、画一的な傾向が強く、県民のニーズに応じた魅力的なものになりきっていない面がみられます。
 今後の人権教育の推進においては、同和問題をはじめさまざまな人権問題の解決とともに、その基盤となる人権意識の高揚と行動力のかん養を目指し、県民の主体的な取り組みを促し、市町村をはじめ関係機関、民間団体、企業等と連携を図りながら、今日的な県民のニーズの把握と新たな手法の導入を図りつつ、人権という普遍的文化の創造に向けた取り組みを進める必要があります。


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