ここは 「人権教育のための国連10年」奈良県行動計画 第3章
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1998年7月5日作成


「人権教育のための国連10年」奈良県行動計画
第3章 人権教育を推進するための環境整備


1 人権教育を進めるための学習環境の整備
(1)生涯を通した学習機会の提供
 充実した生活や豊かな人生を過ごすために、人々が生涯にわたり学習する多様な機会を提供することは、今後ますます必要となってきます。こうした学習における現代的課題には、生命、健康、人権、国際理解、環境、さらに高齢化社会、男女共同参画社会といった、人権教育にとって不可欠な内容が含まれています。人権教育の推進には、こうした課題について学習する機会を十分に提供することが求められることから、学校教育も含めた社会のさまざまな教育・学習システムのネットワーク化を図りながら、各種の講座や研修の機会の充実に努めます。また、県民一人ひとりが主体的に学習できるように、人権教育に関する情報提供の充実を図ります。
(2)地域づくりと結合した学習環境の充実
 県民が身近な地域において人権教育に参加し、それが具体的な活動として地域づくりに役立つよう、支援することが大切です。そのためには、基本的なものから専門的なものまで幅広い学習内容を準備し、さまざまな学習機会を提供する必要があります。また、県民にとって積極的に参加する意欲を換気されるような雰囲気づくりが大切です。
 県や市町村が、民間の生涯学習施設、社会福祉施設等に人権教育を推進する機能が充実されるよう努めるとともに、県民の自主的な学習活動の支援に努めます。また、市町村が、地域の関係機関や民間の人権教育団体等とも連携し、地域ぐるみで人権教育を推進できるよう、その支援に努めます。

2 人権教育をすすめるための人材の養成
(1)身近なリーダー・指導者の養成
 人権教育の具体化は、日常生活の身近なところから進められなければなりません。その際、それを推進するリーダーや指導者が必要になることから、関係機関・団体の指導者や地域のリーダーなど幅広い人材の養成が必要となってきます。
 県や市町村における人権教育にかかわる研修・講座等の開催を推進する施策の充実を図り、地域における身近な研修指導者や啓発リーダー等の養成と資質の向上に努めます。
(2)専門的な指導者の養成
 今後の人権教育では、多様で多面的な手法や内容が有用なことから、県民に対する体系的な研修・啓発の企画立案者や体験・参加型学習の指導者、人権問題に関する研究者や実践者など専門的な指導者の発掘と養成が必要です。
 そのため、専門的な資質を培う研修や講座の開催に努めるとともに、民間の人材を活用したり、民間を含めた各種研究機関等が実施している人権問題に関する講座や研修会についても情報を提供するなど、市町村等と連携して専門的な指導者の確保と養成に努めます。

3 人権教育を進めるための学習方法の整備
(1)人権教育プログラムの整備・充実
 人権教育の推進は、学校教育、社会教育等を含めた生涯学習体系の中で進められなければ効果をあげることはできません。そのため、下記の視点を踏まえ、各分野における人権教育を進めるためのプログラムの作成に努めます。市町村等がプログラムを作成する場合には、情報提供等の支援を行います。
・ 幼児期は、人格形成の重要な時期であり、自他の生命の尊重、基本的な人間関係など、 人権意識の醸成の基盤となる時期です。家庭や保育所、幼稚園における保育内容の充実 に努めます。
  ・ 学校における人権教育では、人権を正しく理解し、人権の尊重を日常生活において実 践できるよう、成長発達過程に応じた人権教育を進めます。また、大学における人権に 関する講座等の実施と充実を促します。
・ 職場における教育・研修について、関係機関と連携しながら、その充実に向けた企業等 への働きかけに努めます。また、基礎的な内容はもちろん、職務等に応じた専門的な内 容も取り入れられるよう、支援します。
・ 地域社会における人権教育の推進は、それぞれの地域の実態に差異があることから、 住民の人権意識や生活課題に配慮し、地域のニーズを踏まえた多面的な人権教育プログ ラムを作成することが必要です。そのため、プログラムや教材についての地域間の交流 を図ります。
(2)効果的な手法の開発・導入
 これまでの人権に関する学習の手法は、主として、同和問題の解決を目指す取り組みのなかで、さまざまに工夫されてきました。例えば、自治会等の少人数で話し合う地区別懇談会等による懇談形式や、テーマに即した課題についての講義形式で、映画やビデオ、啓発パンフレットや冊子などを使用した教材学習形式等で行われてきました。これらの手法は、一度に多くの人々に一定レベルの理解を図ることができることから、基礎的な人権教育を実施するのに有効な方法ですが、学習者が受け身となること、知識の理解にとどまってしまうことなどの問題点もみられます。
 今後の学習方法については、従来の形式も活用しながら、それに工夫を加えるなど、学習者・受講者の関心や興味も重視し、対象者、教育・研修のレベルに応じたグループ学習等、手法の充実を図ります。また、諸外国で実施されてきたロールプレイ、シミュレーション、ワークショップといった体験・参加型学習等の感性に働きかける手法の導入を進めるとともに、そのための研修会など学習機会の提供を進めます。
(3)効果的な教材の開発・整備
 人権教育を進めるためには、効果的な教材が必要です。この教材の開発については、県や市町村をはじめ、関係機関、民間団体などが種々工夫し、作成・開発してきました。これらの一層の活用を図るとともに、今後は、対象者の年齢や意識などに配慮した効果的な教材の開発と整備に努めます。また、人権教育に関する教材や資料の開発に当たっては、地域社会・学校と人権関連施設が連携し、人権関連施設が持つ豊富な教材の活用、民間や大学での専門的な研究に基づく新たな資料の導入等に努めます。
・ 保育所や幼稚園においては、保育の環境に留意し、成長過程を十分に把握して教材を用意する必要があることから、絵や写真を使った教材、がん具等の具体物を生かした教材の開発・整備に努めます。
・ 小・中・高等学校段階においては、児童生徒の興味を引き出せるよう、身近な出来事を題材にした教材、基本的な知識・技能をより実践的に発展させることに重点を置いた教材など、成長発達過程に応じた教材の開発・整備に努めます。
・ 地域社会や職場等において学習や研修に使用する教材は、日常生活とのかかわりを重視したものが効果的です。県民に向けて作成している人権に関するパンフレット等を教材として活用することも有効であることから、こうした教材の提供を進めるとともに、対象者に応じた教材の開発・整備に努めます。

4 効果的な啓発手段・情報提供の実施
(1)人権についての啓発手法・情報提供の内容の充実
 人権についての啓発は、人権とは何か、さまざまな人権問題がどういう内容であり、なぜ存在しているのか、また、どうすれば解決できるのかという観点に配慮して進めなければなりません。そのため、身近な課題を取り上げるなど、自分の問題として受け止め、実際の行動に結び付くものとするとともに、理解やすいものとなるよう、感性に働きかける具体的な事例の紹介、イラストの活用など手法の工夫に努めます。
 特に、情報提供の内容については、世界人権宣言や国際人権規約等の人権教育の基本となる内容、研修や講座、イベント等の情報のほか、家庭や地域での日常生活から題材をとらえたものとします。手法としては、関係する冊子やリーフレットの配布にとどまらず、県が発行する刊行物等に、人権に関する標語や開催事業の紹介等を掲載するなど、効果的な啓発と情報の提供を進めます。
(2)マスメディア等の積極的な活用
 新聞、テレビ、ラジオなどのマスメディアは、その特性から、今後の人権教育の推進に大きな役割を果たすことが期待されます。そのため、県の人権施策、人権教育に関する講座やイベントなどの情報をテレビ等で積極的に提供し、これらの情報がさまざまな学習機会で取り上げられるように働きかけるとともに、人権尊重の雰囲気づくりを進める標語等を使った啓発などを進めます。
 また、県情報システムを利用した人権問題の情報提供、インターネット上への人権に関するホームページの開設など、ニューメディアの有効活用に努めます。

  5 ボランティア活動の促進
 ボランティア活動は、福祉、保健・医療、青少年育成、教育、文化、スポーツ、地域振興、環境保全、国際交流・協力、人権擁護などさまざまな領域に及び、子どもから高齢者まで幅広い世代の人々が参加するようになってきています。
 これらの活動は、現代社会の諸課題を背景にして行われる一面を有しており、豊かで活力ある社会を築き、生きがいのある生涯学習社会の形成に大きく寄与するものです。また、ボランティア活動は、個人の自由意思に基づき、その技能や経験、時間等を活用して社会に貢献する活動であるとともに、地域社会を共に支え合う心豊かなふれあいの場として、自己実現を通して新しい活力を生み出していくものであり、人権教育の具体的な実践活動といえます。
 このように、ボランティア活動は人権教育に資するものであり、一人でも多くの県民が楽しく参加できるよう、体験の機会の情報の提供など、活動の支援・振興に努めます。

6 国、市町村をはじめとする関係機関、民間団体、企業等との連携
 人権教育を進めるに当たっては、国、県、市町村各行政機関の連携が肝要であり、そのために、それぞれの役割を踏まえながら、協力体制の強化を図ることが必要です。また、民間団体・企業等とも連携を密にし、人権関連情報、指導者、教材等、それぞれが保有する人権教育の推進に必要な情報を共有し、効果的な推進に役立てることが大切です。
(1)国と県との連携
 国が実施するさまざまな人権施策に呼応しながら、県としての取り組みを進めます。また、地方法務局等の国の機関と県とが連携して実施している街頭啓発事業などの充実に努めます。人権相談においても、必要に応じて相互協力に協力し、問題の解決に当たります。
(2)県と市町村との連携
 市町村が実施する人権教育の取り組みに対しては、県は講師等の紹介・あっ旋、情報の提供などを進めます。また、市町村職員の人権意識の向上を支援する各種研修事業の実施や、市町村での取り組みのための学習・指導資料作成・配布に努めます。
(3)県と民間団体・企業等との連携
 民間団体・企業等の自主的な人権教育を支援するため、講師や教材、相談機関等について助言や情報提供等を行います。
 また、民間の各種団体に人権教育の取り組みの充実を促すとともに、それぞれが独自の役割を踏まえた相互の活動のつながりを強化するよう努めます。とりわけ、奈良県同和教育推進協議会等の研究団体、県内市町村ごとに組織されている人権教育にかかわる関係機関、人権関係のNGO(非政府組織)やNPO(非営利組織)など、自主的団体の取り組みと連携を図り、県民の人権尊重の意識の一層の普及・高揚に努めます。


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