表計算ソフトウェアを活用した製図方法

製図をかくために必要な最低条件として次の3点が考えられる。

・方眼を表示できる。
・四角形や円などの基本図形がかける。
・線がかける。

この条件を満たすものとしてExcelを選択した。

図1は、基本的な製図用シートの一例である。

図1 製図用シート(「Excel」を使用した例)

製図用シートの作り方は、次の通りである。
@ 一つのセルを一つの方眼とする。
A 一つのセルのサイズは、20ポイントが適当である。(プリンタにもよるが、約5mmの方眼ができる。)
B かきやすいようにセルに「罫線グリッドの作成」ツールで方眼用のグリッドをかく。グリッドは、色の薄い破線で表示すると、見やすく、図形がかきやすい。

本研究では、創造的思考力をより高める教材の材料として2×4材を活用している。
よって、実際には、「Excel」の「図形描画」ツールを使用してゼロからかくのではなく、2×4材のそれぞれの材料(図2)を部品として用意する。更に、それを「コピー」し、組立図用シート(図3)に「貼り付け」、長さだけを変更する。また、修正すべき箇所があれば、「図形描画」ツールを使用する。

図2 製図用パーツ(2×4材用) 図3 組立図用シート

2×4材や間伐材の作品例の設計・・・組立図、部品図の作成

組立図のかき方

 組立図は、表計算ソフトを活用した製図法を用いてかく。第三角法を用いるので、製図法についての説明が必要である。キャビネット図(図4)や等角図を見て、正面、平面、側面から見た図をイメージできるように指導する。製図は各面のパーツをゼロからかくのではなく、すでに準備されたパーツ(図2)からコピーし貼り付けて完成させていく。製図の手順は、次の通りである。

図4 キャビネット図

組立図をかく手順

@正面図からかく。基準になるパーツを最初にかく。ここでは、側板をかく。 A底板をかく。 B棚板ともう一つの側板をかく。 C更に残りの棚板やストッパーをかく。
図5 組立図をかく手順

キッチンラックの正投影図

図6 キッチンラックの正投影図
「直線」ツールを使用して寸法線や寸法補助線をかき、「テキストボックス」で数値を記入することも可能である。



部品図のかき方

部品図(図7)は、組立図からパーツをコピーし、貼り付ける。
組立図の平面部分をコピーする。
それを、部品図をかく製図シートに貼り付ける。


図7 材料の平面部分だけを取り出した(組立図の各パーツをコピーし、貼り付ける)部品図である。
棚板と側板は、2枚ずつ貼り付けている。



模型の製作に当たって
図8 スチレンボード 図9 キッチンラックの模型

部品図を印刷し、図8のようなスチレンボードに貼り付け、模型をつくって製作品を立体的に考えることができる。
生徒は、構想図などの平面上だけでは、製作品やその変更点をイメージしにくい場合が多い。
図9のような模型をつくると、組合せや加工部分、変更すべき部分を考えやすくなるので、創造的思考力もより高めることができるとともに、実際に製作するときの失敗も減少し、より効率的である。

この一連の作業で、生徒は組立図や模型から自分の製作品の完成イメージをつかむことができる。このため、より創意工夫した製作品の構想を練ることができると考える。