黒部峡谷 下の廊下

H16年9月25日〜27日
参加        5名

何年か前に裏銀座縦走から雲の平へ回った時、確かに黒部川源流と刻んだ石碑がありました。
そこは鷲羽山の麓、トリカブトの花とクルマユリが色鮮やかに咲き乱れる花園でした。
裏銀随一の展望と言われる鷲羽山に源を発する黒部川との思いもかけない再会、このような形で繋がるなんて思っても見ませんでした。
その急流を眼下に見て渓谷を縫うように沿って歩ける幸せに2日間浸って来ました!

先週もこの京都駅から23時発の夜行バスに乗りました。
(毎週アルプス?と笑われたこともあったけど、決してそんなことはございません。おまけにpororiさんの住民票は長野県?と言われたり・・・それも決してございません。奈良県在住の小市民です)
もう夏山シーズンは終わったので今夜のバスも空いていて2人掛けのシートに1人で楽々です。(先週もそうでした)

1日目 扇沢〜黒部ダム〜阿曽原

扇沢の駅もひと時のような混雑はなく、7時30分の始発に早くから並ばなくても乗れました。
トロリーバス15分で黒部ダム駅へ、そのまま直進して旧日電歩道への出口があり眼下に見える青い急流、黒部川河原まで下ります。殆どがアルペンルートの観光客のようですがアルペンルートとは出口が違います。
先ず急流を渡ります。下の廊下、欅平までの長い道のり約27Kの間に何度この急流を渡るのでしょうか、ちょっと胸ワクワクで渡り初めです。高さ186mの巨大ダムを見上げ樹林に入り、長い長い下の廊下、旧日電歩道の始まりです。



道は黒部川に落ち込む山腹に作られています。巾は80Cくらいでしょうか?でもこの先どんどん高度が増し、道幅はさらに狭くなってくるのです。水浸しのところ、上から雨のように降ってくるところもありブルーシートで囲って簡易トンネルになっているのですが、その中でも水がザザ漏れです。
名のある滝と思いますが分かりません。

残雪多しの別山谷付近、今年は道に残雪がなく川にゴロンと落ちています。雪がある方が楽しいと言った友人がいますが、私如き初心者は雪がなくて安心しています。
別山谷出合から岩にへばりつくようになり、岩にザックをぶつけないよう、また逆コースの人との行き違いに配慮しなければいけません。とにかく谷側へつまずいたり、滑ったりしたら間違いなく千尋の谷底に落ちてしまうところ、もっとも山側には殆どワイヤーがあります。谷底まで数百メートルあるにもかかわらず道幅は1mにも満たないどころか50cくらいのところもかなりあります。

道は殆ど水平に近いのですが、黒部川流域の平均斜度が高くどんどん高度が増します。(平均斜度36度、そのうち30〜45度の部分が全体の70%)

崖っぷち、断崖絶壁にコの字形に付けられた廊下は延々と続き、幾千と言われる谷から渓流をあわせ、ぶつかり落ちて落差の大きい見事な滝を見せています。

ちなみに『廊下』の意味は『流れの両岸が狭く、垂直に近い岸壁が迫った地形』 にわか仕込みです。

別山谷出合から白竜峡、十字峡と核心部に迫り、差し詰めこの十字峡は心臓部でしょうか?怒涛の如く激しくぶつかりあって脈打っています。


十字峡は黒部本流に剱沢と棒小屋沢が合流し十字をなしているところ、水はますます深く、白く、青く、飛沫をあげて豪快にはじけています。
ユラユラ揺れる長い吊橋を渡ります。十字峡はスケールが大きくてファインダーに収まりません。

大きくSの字を描いているS字峡を過ぎる頃には崖っぷちの水平道にも、ダイナミックな渓谷美にもやや飽きてダレて来ました。何と贅沢な!と今になって思っています。

仙人ダムへはいったん河原までおり、また長い吊り橋を渡ります。
この辺りでふいに硫黄の匂いがして温泉が近いことを感じます。
ダムの橋を渡り、少し建物の中を通り高熱隧道に近づくとムンムンの熱気と硫黄の匂いです。ここが阿曽原温泉の源泉です。
河原まで下った分上り返します。仙人池への道を左に分けて水平歩道から離れ阿曽原小屋までもう一度下ります。小屋から少し下ったところがテント場で水、トイレ(水洗でした)があります。

その下方に奥黒部の秘湯の一つ阿曽原温泉があり、峡谷の中の露天風呂に初めて入りました。男女の時間制限を小屋が管理しています。
もう一つ、露天風呂の湯に浸かりながらビールを飲むという経験も…これはヤミツキになりそう〜!

Lが用意して下さった大きなドーム型テントで今日は大の字で休みます。

コースタイム
黒部ダム 7:45→別山谷出合 10:40→白竜峡 11:13→十字峡 12:07→半月峡 12:52→仙人ダム 13:55→阿曽原テント場 14:50

2日目 阿曽原テント場〜欅平〜宇奈月

テン場から沢を渡り朝一番の急登です。多分このコース最後の上りになります。
上り切ると再び水平歩道ではっきり岩壁に道が彫られているのがよく見えます。
右は大太鼓、難所です。

いくつかこのようなトンネルを通過します。
その中で最も長いのが志合谷トンネルで、中は真っ暗で水浸しです。ヘッドランプ必携、無ければ歩けません。かなり長いトンネルでこれはもし女性1人や2人では恐いところです。

またまた水平歩道に飽きてきた頃、欅平へジグザグの急降下になります。ポツポツ小雨だったのが傘が必要な雨になり傘をさしての下りです。
珍しく足が痛く欅平の駅が見えてホッとします。もう買い替えようと思っている履きなれた靴なのに右足に水ぶくれが…

あとはトロッコ電車で宇奈月温泉へ。富山から高速バスで京都へ帰ります。

鷲羽山から最初の1滴を発し、長さ86Kにわたって人を寄せ付けない深い峡谷を刻み日本海へと注ぐ黒部川の生々しいありのままの姿に触れたような思いです。
黒部川の息づかい、黒部川の脈打つ音、黒部川の生命の音を聞きました。今も耳に残り消えることはありません。

黒部峡谷、究極の渓谷美でした。

コースタイム
阿曽原テント場 5:30→志合谷トンネル 8:10→欅平 10:15