弥山(1895m)〜八経ヶ岳(1914.9m)

H17年 7月18日
参加     5名

オオヤマレンゲに毎年会いたいと思いつつも、このお花の見頃はまだ梅雨明やらずで何度か計画倒れになったり、小雨の中の出合いであったり上手くいかないことが多かったのですが、今年は花数が多いと聞き、ひょっとしたら名残の晩生のオオヤマレンゲに会えるかも〜と。
雨の週末が多く久々の快晴山行!!!これだけでもう充分うれしいのですが、 オオヤマレンゲに会えたら文句なし、手放しのバンバンザ〜イです。
ミタライ渓谷から行者還トンネルまでの川迫川渓谷は緑が川を覆い、トンネルを作り、とても気持ちの良い渓谷ですが、少雨の影響か水は少なく夏に向けて一抹の不安があります。

トンネルの手前500mのところで車両通行止め、大がかりな工事がなされています。明らかにオーバーハングの大岩が恐怖です。これが崩れてきたらもうひとたまりもありません。こんな所で危険な工事をして下さる方は本当にご苦労さまです。
迂回路があり登山口までは数分です。
軽くストレッチをして出発します。
奥駈道出合いまでは急登で木の根が絡み合った階段状の上りです。
風が通らず大汗の行でしたが休憩するとかすかな風が感じられて自然の冷気に勝るものは無いことを実感します。白い小さな花、ヒメシャラがたくさん散っています。奥駈出合までは他に沢沿いの道もあり、以前沢沿いに登った時はナツツバキがたくさん咲いていたように記憶しています。

Lがとても早い足取りで一気に上り詰めて奥駈道と出合い、大きな丸太のベンチで休憩です。
風に揺れるブナの葉を通して見る青い空はもうすっかり真夏の空です。ブナ林をそよがせてくる風はこの上なく爽やかで木の香りを届けてくれます。 緑いっぱいの下でこの小さな風を見つけ、かすかな風の音を聞き、ブナの香りに包まれる、幸せなひと時です。

しばらくは緩い上りで色濃くなったブナやカエデの林から陽がこぼれ、シダがいっせいに葉を広げて緑に覆いつくされた快適な歩きになります。目指す弥山山頂が見え、稲村ヶ岳、大普賢岳、山上ヶ岳、大台ヶ原とやっぱり心落ち着く大峰の山々です。
バイケイソウがたくさん花をつけています。どんなお花でも早春に芽を出して開花が待ち遠しいものですが、バイケイソウに限っては、雪解けの頃、早春のまだ緑がまったくない時、一斉に新芽を出すあの頃が私は一番好きです。
2年ほど前に来た時よりも階段が多くつけられています。階段は苦手ですが、ちょうど良い高さであまり苦になりませんでした。
弁天の森も理源法師像のある聖宝の宿も大峰の山深い趣が感じられ修験道の色濃く残るところでもあります。頭上ではこもれ陽と緑が交錯し、目も心もその優しさに感動しています。
下ってくる方に「オオヤマレンゲは咲いていました?」と尋ねると「知りません」と言う方もありましたが、「少し残ってるよ」と言う方もあり「ヤッター!今日は間違いなく会える〜」とワクワクです。

山頂で昼食後八経ヶ岳へ、この間にオオヤマレンゲの自生地があります。鹿の食害から守るためフェンスで囲ってあり、1歩入るとカラマツソウや青い実をつけたサンカヨウ、そしてオオヤマレンゲがたくさんあるのですが、やはりもう遅く、残念ながら大半が茶色くしぼんでいます。が…

その中で数輪の見頃の花を見つけ「今年も会えたね」とうれしくホッと安堵します。この花に限らず昨年咲いていた花が咲いているはずのところに跡形も無く消えていたりしたらとても悲しくなりますね。(その経験があります…)
別名「天女の舞」「天女の羽衣」と呼ばれているのも頷けます。美しく気品のある花オオヤマレンゲです。

八経ヶ岳はもう夏本番!夏山到来!の感で、真っ青な空にモクモクと白い雲、トンボが乱舞しアゲハチョウが美しい羽をユラユラ揺らせて舞ってきます。

山頂から大普賢岳、山上ヶ岳と大峰北部、仏生ヶ岳、釈迦ヶ岳、七面山東峰が見えています。

陽のあたる山頂をちょっと避ければ涼しい木陰があり、話がはずんでゆっくりしてしまいます。
「もう下るのも面倒や、ここからパラグライダーで麓まで飛んだらいい気持ちやろなア〜」そりゃ、そんなことが可能ならどんなに快適でしょう、でも、オオヤマレンゲを愛でながらブナの林を風に吹かれて歩くのも快適この上ないよ〜〜〜とそろそろ下山にかかります。

途中2人連れの山伏さんに出会い、私はその立派な装束や大きな法螺貝に目を奪われていると、同行のメンバーおむすびコロリンさんが恐れ多くも「その法螺貝一度聞かせてもらえませんか?」と厚かましいお願いを、さらに加えて「私はまだ一度もホラを吹いたことがないものでー」と(これがホラの根源みたいなもの???)
でもこの山伏さんもきさくな方だったようで快く聞かせて下さいました。お腹の底にズシーンと響く重みのある力強い音色が大峰奥駈道をゆっくり駈けていきました。

その後、修行中の方が「ザァーンゲ ザンゲ ロッコンショウジョウー」と唱えながら上って行かれました。老若男女、年令、性別不問でした。
※六根清浄とは…
六根は目・耳・鼻・舌・身・意のことで、この六根から生じる欲望を断ち切って清らかになる(清浄)という意味の祈りの言葉だそうです。
後姿を見送りながらふと神妙な、厳粛な気持ちになりました。
法螺貝も聞かせていただいたし、六根清浄と清めていただいたし、天女のように清らかなオオヤマレンゲにも出会えたし、清清しい心で陽の傾いたブナ林を帰りましょう。

来年もきっと会えますように、と願いつつ
コースタイム
トンネル西口登山口 8:10→奥駈道出合 9:03→聖宝の宿 10:05→弥山山頂 11:12(昼食)12:00→八経ヶ岳 12:30⇔13:05→弥山 13:35→出合 15:00→登山口 16:05


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