庚申山鋸山皇海山

 (1892m)(1998m)(2143.6m)

H17年7月29日〜31日
      参加        4名

「今なお静寂の中にある」と言う皇海山は昨年から心魅かれる山でした。栃木と群馬の県境にあり深田久弥氏によると「訪れる人も少なく深山の趣が濃い」とも。

銀山平〜一の鳥居〜庚申山荘
庚申山から鋸11峰を越えて皇海山への行程はかなりロングコースで少々不安もありましたが「静寂の中、深山の趣」に心魅かれ、また2年ぶりの友人との再会も含めて心待ちにしていた山でした。
最近新宿行きの夜行バスが最寄駅から発着するようになりこの便の利用はとても便利です。新宿からJRで桐生へ。途中赤羽で友人と合流し、わたらせ渓谷鉄道に乗り換えて通洞駅下車、タクシーで足尾銅山の名残を目の当たりにしつつ銀山平につきます。

登山口から一の鳥居まで庚申川に沿って約1時間の林道歩き、蕾がピンポン球のように可愛いタマアジサイとリョウブの白い花がとても多くて目につきます。






約1時間林道を歩き、赤い一の鳥居から山道に入ります。新緑から夏色に変わった緑と白くはじける渓流がとても美しいところです。とてつもなく大きな鏡岩や夫婦蛙岩などの巨岩を過ぎよく整備された階段状の道をのぼり詰めて庚申山荘です。庚申山を背負ったようにたつ立派な山小屋です。2階建て無人の山荘ですが、階段手すりにはきれいにおふとんが干してあり時々管理の方が来られるようです。トイレ(別棟です)あり、水は豊富にあり、自炊室ありお鍋などもありました。

さて、今日は4人貸しきりです。今夜は友人が準備してくれた鳥鍋です。お野菜もキノコも鶏もたっぷり入った美味しいお鍋を囲みます。
山間の山荘、木のテーブル、ランタン、大きな窓からダケカンバの林、それらがお鍋の蒸気で少しぼやけて、宵闇に包まれて、いい雰囲気です。
ビール、「皇海山」という銘柄のお酒、香り高いブランデーと役者もそろいました。(と言っても飲んでいたのは2人でしたが)

でも…、窓の外は雨…。
明日は長い行程になるので3時半起床、5時出発の予定、1階に2部屋あるたたみのお部屋でおふとんをお借りして休みます。
ところが、 ところがです〜。
4人が大の字になっても特大の字になってもあり余る広いお部屋でぐっすりのはずが12時過ぎ、猛烈な閃光と激しい雷雨で世界は真っ白になりました。
ひっきりなしにガンガン、ガラガラ、光りっぱなし、鳴りっぱなしです。大きな小屋の中だから一応安心とは言うものの、多分近辺に2〜30は落ちたかと思うほど頭上で稲妻が先か雷鳴が先か何がなんだか分からない時間でした。
40分ほど鳴り響いていたようですが、いつの間にか眠りに落ちて目覚ましが3時半を告げる頃には雷も雨もおさまり、打って変わって静かな朝です。
コースタイム
銀山平登山口 12:20→一の鳥居 13:15→庚申山荘 15:06
庚申山荘〜庚申山〜鋸岳〜皇海山〜六林班峠〜庚申山荘〜銀山平(かじか荘)
素早く朝食の準備をして5時5分出発します。
山荘の背にそそり立つ岸壁をトラバースします。昨夜の雨で濡れている上に岩から水が落ちてきます。朝のひんやりした空気がもう格別!極上!応えられません。梯子や鎖もありますが新しく付け替えられています。この付近にこの山特有のコウシンソウの群落があるそうですが、時期はもう終わっていますし、またその時期であっても始めての人は殆ど見つけられないそうです。極小のムシトリスミレの仲間です。(山荘に写真が飾ってありました)
余談ですが、帰りのわたらせ鉄道の中でこの写真を撮った方(山荘の管理もなさっているそうです)にお会いしてお話を聞くことが出来ました。

岩場を離れると苔むす倒木の原生林になり、原始の匂いと静寂に包まれています。心がしっとり潤って、癒されるのを感じます。
庚申山は展望のない狭い山頂です。山頂を過ぎてしばらく行くと展望が開け、殆どガスに覆われた皇海山がぼんやり見えて、う〜ん、遠いなァ〜。

その前に鋸11峰とやらを越さなければ。本で見た限りでは鋸の歯を思わせる岩のガチャガチャの峰です。ドキドキとワクワクです。
ヤセ尾根がずっと続き、鎖、梯子、ロープが要所にありますが気の抜けないところです。岩場は意外に滑らず足場も確保出来、慎重に11のピークをアップダウンします。と言っても11のピークは確認出来ません。半分ほどは標示があったようですがあとは分からずじまいです。
(11峰は庚申山・御岳山・駒掛山・渓雲山・地蔵岳・薬師岳・白山・蔵王岳・熊野岳・剣ノ山・鋸岳)緊張しつつも面白い、変化のあるルートです。

それに急な岩場には必ず(でもないかな)可愛い花の応援があるのです。イワキキョウ、シャジン、コメツツジ、シモツケソウ、この黄色のお花はたくさん咲いていましたが名前が分かりません。

無事鋸山に到着です。展望の良い山頂ですがガスがかかって直前の皇海山も見えず長い行程のため小休止で出発します。鋸からは両側が落ち込んだルンゼ状の下り、ロープがあり、無いところは木を掴むのですが、それがグラグラだったりします。皆同じところで同じ木を掴むのでしょうね。不動沢コースと出会う不動沢のコルまでどんどん下ってしまいます。 ヤレヤレ・・・
ここから最後ののぼり、深い原生の森です。ここまで誰にも会わなかったのですが、不動沢コースからはたくさんの人が入って最後の急登を同じくあえいでいます。約1時間の上りですが途中で休憩している人は上を見上げて「まだかぁ〜」みたいな様子です。
庚申山荘からのスリリングな変化のあるコースで11ものピークを踏んで来たのだから、この上りは本当に最後の上り、深山の趣をじっくり心に残しておきたいものと楽しみながら1歩1歩進めます。確かに岩場は緊張の場面もありますがこの原始の匂い漂う森は心がすっかりリラックスしています。

皇海山も展望のない山頂です。心地良い疲労と満足感に浸りつつお腹を満たします。昼食後さすがにもう一度鋸11峰は手強いとコースを六林班峠(ロクリンパン峠)経由にします。

山頂直下で私は初めてコイチヨウランに出あいました。とても小さなお花で見落としていましたが後から友人が教えてくれ、花の大きさ0.5〜0.8cくらいでしょうか、それでも花の重さに耐えかねるように下を向いています。山でラン系の花に出合うことが少ないので大感激です。 
鋸山まで戻り分岐を六林班峠へとります。笹原が拡がる展望の良い尾根を先ず下り、笹原をかき分けて行きますが高度差があまりないので高原の中にいる雰囲気です。

ダケカンバと笹原の美しいところ、いくつ曲がってもこの美林は変わりません。ダケカンバがブナに変わり、またダケカンバになり午後の日差しを和らげてくれます。
六林班峠からも同じく笹原と美林が続き、沢をいくつも渡り沢と尾根を交互に繰り返し、あまりの広さ、深さに感動しつつ、ずっと同じ景色のトラバースにどこまで続くのだろうと恐ろしく、「もう飽きた〜、と言う頃につくよ」と友人が言います・・・。
谷側が多少崩れやすくなっているところもありますが、概ね歩き安い楽な道です。その分長いのは仕方ないでしょう。確かにもう飽きたころ山荘に到着します。
荷物を置いてサブザックで出たのでパッキングして一息入れて、あとは銀山平のかじか荘まで下るのみです。温泉が待っている〜!
かじか荘の温泉に入り濡れた靴(やぶこぎですっかり濡れてしまう)をサンダルに変えて、足がのびのび、生き返ります。
庚申山から鋸、皇海、六林班峠の約11時間の長丁場ですが、前半はハードでスリリング+原生の森、後半は優しい高原を思わせるとても良いコースです。
岩場、ザレ、ルンゼ、原生林、笹原、ブナ林、ダケカンバ林、沢、花と今日1日は全てが凝縮されています。

不動沢からの合流地点まではまさに「訪れる人も少ない深山、今なお静寂の山」でした。
コースタイム
山荘 5:05→庚申山 6:00→薬師岳 7:11→鋸山 8:07→不動沢のコル 8:46→皇海山 9:30〜9:55→鋸山11:00→六林班峠 11:55→庚申山荘 14:00〜14:20→かじか荘 →16:05