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   地方・地域を活性化させる・・
   でも、行き過ぎた方法は、
      本末転倒ではないか

       ・・ふるさと納税制度
 下記は工房主の勝手な解釈も入っています。あくまでも参考資料として
お読みください。

(1)ふるさと納税制度
  地方活性化×カネ の話とくれば近年、なにかとに話題となっている
 「ふるさと納税」でしょう。地方で生まれ育った人や都市部に住む人が、
 都市部にいながら「ふるさと」に納税することで、地方を応援することに
 なるという税制優遇策でした。
  本来、性善説に基づいた法制度で、寄付行為の一環としてとらえ
 「理性」が前提であれば「美しい行動」で済むのですが、法の拡大解釈で、
 ネット上では「なくなり次第終了!100億円還元、閉店キャンペーン!
 Amazonnギフト券付きふるさと納税、2月・3月限定!」とまでくれば、
 この制度はもう無理です。(2019年2月12日現在、大阪近郊のある市)
  長い目で見れば、人間不信をもたらし、今後は、すべて「性悪説」を
 前提にした法体系となり、これは、生きにくさが伴うことにもなりかね
 ません。不幸なことです。
とうとう、ここまできた!
Amazonギフト券ともタイアップ
5月末まで(ヤケクソとも思える)

*6月から新制度のふるさと納税、対象外間際にギフト券最大40%
 長い目で見れば地方振興に汗をかいて取り組んでいる多くの人々の
心を傷つけ、貴重な税金(国の借金1100兆円)の無駄使いにもなり、
決してプラスにはならないでしょう。
*大阪府のある市の令和元年4月〜5月の寄付額が185億円と
 発表されています。総務省の通知に反した豪華返礼に、駆け込み寄付が
 相次いだためとみられている。「国地方係争処理委員会」で審査される
 とのことだが、最初に法律を起案した段階で、生身の人間の行動の
 あらゆる事態を想定し、もっと慎重にされるべきだったと思われます。
 (悪法といえども、法は法という格言もある)
*ふるさと納税の新制度から関西のある市を除外した総務省の決定の
 是非が争われた訴訟の判決が、2020年1月30日に大阪高裁より
 出ている。
 「返礼品は突出して極端で、法律が許す範囲を逸脱している」として
 除外判定は適法とされた。最高裁でも争われ、20年6月30日に
 逆転して「除外取り消しは無効」と審判が確定しました。
 *「度が過ぎている」との一般的な考えより、「法の不遡及」の原則が
   優先された結果ともいえるが、今後は、制度の趣旨が徹底するよう、
   法律で、きちんとした制度設計がされることが望まれる事例です。
 *当該市は2018年度に、全国の約1割にあたる約496億円を集め
  たが、新制度移行に伴い、制度から除外された。令和2年6月に
  最高裁で逆転勝利、7月に制度復帰が認められた。今年は約1億円
  と激減している。
(2)何に問題があるのか・・貴重な税金(血税)の無駄使い
 誰もが制度の趣旨を正しく理解し、紳士的に行動するだろう、という
期待(性善説)に反した行動をすれば、下記のようになる。
 自治体Aが自治体Bの住民から10万円の寄付を受けて3万円の返礼品
を贈るとします。自治体Aの収入は7万円で、自治体Bの住民は、自分の
自治体Bに税を納める場合に比べて3万円分が得をすることになる。
 結局、自治体AとBのの合計した税収は、10万円から7万円分となり
減ってしまう。
 返戻金の代金が寄付額を超えない限り、ふるさと納税を受ける自治体
は必ず納税が増える。自治体Aと自治体Bが10万円の寄付金を巡って
争えば理論的には返戻金の金額が9万9999円まで続き、結果的には
自治体AとBの合計税収は1円となり、本来は税収となった9万9999円
が返礼品となって消えてしまう。極めて非効率な制度です。
 最終的には、国税で補充され、結果的には国債が増えることになり
社会的資源を浪費することになっています。バカげた政策でしょう。
*ある税理士の計算では、課税所得400万円であれば、最大11万
7千円程度が最大限の寄付額となるそうです。実質的に2千円の自己
負担金だけで、自治体からの特産品やギフト券が受け取れる制度。
固いこと言わないで所得税を納めている人は、みんな利用すれば良い
のだが・・(実際は税法上の計算は複雑、そのため「ふるさと納税仲介
サイト」でも、目安が紹介されている。高額納税者に有利で、低所得者
にメリット無し)
(3)ふるさと納税 悲劇の結末
 下記のグラフは2018年度の最新版です。昨年度分(2019年度)
は、夏ごろに発表される予定ですが、6、000億円を大きく上回ることは
確実です。
 ふるさと納税の目的、趣旨は、生活に困窮している親(ふるさと)を、
お世話になった「ふるさと」から都会出て行った子供が、少しでも恩返し
親孝行をしたい、と解釈するべきです。
 寄付した金額の分、翌年度の個人住民税などの控除が受けられる。
控除の上限額(住民税の20%強)に達するまでは、いくら寄付しても
自己負担額は2000円です。さらに、自治体から特産品などを
「お礼の品」として受け取ることができます。
 住民税の2割強まで寄付できる仕組みを鑑みれば、ふるさと納税額
は、国民全体が納めた住民税総額12兆円のうち2.4兆円まで、今後
さらに伸びる可能性があります。
 このままの方向で拡大していけば、いずれ国全体の税源が不足し
増税(消費税?など)の形で跳ね返ってくることになるでしょう。
 控除と返礼品は魅力的だが、ふるさと納税が増えれば増えるほど
国全体の税収が減るという、「ゼロサムゲーム」どころか
「マイナスサムゲーム」になってしまっています。経費、返礼品など
のため、実収入は5割程度しかない。(グラフ参照)
 魅力的な返礼品に飛びつく気持ちは理解できますが、より大きな視野
で考える時がきているといえます。



(4)誰が考えても、国債は償還できない?
   工房主(N)が、今でも鮮明に記憶している会話があります。 
   約30年前、仕事の関係で知り合った金融機関に勤めている方
  (当時、40歳前後ぐらい、支店長代理クラスの方)と雑談している折
  何かのきっかけで借金のことが話題になりました。
   「Nさん、こんなもん(国債)、絶対に返せませんで! まあ、
  見といておくなはれ」と言われたことが、その方の顔、声とともい
  いまでも鮮明に思い出されます。
   国債は麻薬と同じで、1回、味を占めたら止められない、と歴史が
  証明しているからでしょう。当時は、まだ180兆円ぐらいでした。
   現在では、1000兆円を超える発行額になっています。

下表は国の歳出と歳入の状況


下表は国債の発行額。


○日本銀行における国債の引き受けは、法律(財政法第5条)により
   原則として禁止されている。が、いつの間にか、いろいろと理由づけが
   されて、現在(平成31年3月)では、発行額約1000兆円の約44%、
   440兆円を所有するまでになっている。
    *その他の主な保有割合、銀行など40%、海外6.4%
 ○ドイツの財政均衡主義
   2009年に基本法(憲法)が改正され、財政均衡を義務づける法律
  が整備され、赤字国債の発行が原則禁止となっている。
  歴史に学べ(超インフレがヒトラーの台頭を招いた)という教訓が
  背景にある。
(5)借金棒引き法
 下記の文章は、約8年前の朝日新聞(2013年3月16日)の経済面、
コラムの匿名記事です。保存していた新聞の切り抜きです。
 ・・・・
 私の義父は戦前、大阪の船場で繊維問屋を営んでいたが、それを
売り払い、金を手にして悠々自適の生活に入った。
 当時、大卒の初任給は約100円、義父は家族一同を集めて
「ここに5万円ある。これを国債に換えると年8%の利息がつく。
年間4千円。これで子々孫々まで遊んで暮らせるだろう」と言ったと
いう。
 第二次大戦後のインフレは結果的に政府の膨大な借財(国債)を
帳消しにし、自適の富裕層を消滅せしめたのである。
約1千兆円に及ぶ国と地方の借金が問題になっているが、戦後の
極端なインフレは論外にしても、年率5%のインフレを7年も
続ければ1千兆円は実質半減することに注目したい。
 7年といえばガヤガヤ議論をしているうちに過ぎていきかねない
歳月である。現在、2%の統制されたインフレ論が云々されているが
これだと20年かかることになる。いずれにせろ、国家の借財は
インフレによって多かれ少なかれ棒引きになり、日本のみならず
歴史的に各国の財政はインフレに救われてきたわけである。
ではいかにしてインフレを起こすか。まずとことん金融を緩めること
だ。これこそ必要な第一歩なのだが、議論が喧しい。「羹に懲りて
膾を吹く」を類いであろう。要はやってみることだ。
 何もしないで知ったかぶりをしていても何も変わらない。やってみて
うまくいかなければ軌道修正をしたらよい。無責任に聞こえる
かもしれないが、何もしないで責任逃れをするより、はるかに
建設的であると心得るべきだ。
時間をかけて決めたことは時間をかけないと止められない。かくして
事態は後手後手となっていく。事は迅速に運ぶべきだ。
 ・・・・
 過去6年ほど2%程度のインフレを目指した政策がされてきたが、
上手くいかなく、結果的には政府債務残高はGDP比2.2倍にまで
なている。
*8年前の2013年を基準にすれば、インフレ率年2%で推移して
 いくと、1000兆円は5年後の2018年には906兆円、、10年後には
 820兆円、20年後には673兆円になるとの予測がされていた。
  実際には、経済の国際化(衣料品などでは、中国製といえば高級品?
 さらに人件費の安い国からの商品が大量に輸入されている)や高齢化
 少子化、超格差社会になりつつあることで、消費意欲がない、物が
 溢れ返っているなどの原因でインフレが起こっていない。


日本経済新聞 2019年5月20日号より

 政府債務残高のGDP比をグラフから見れば、現在と第二次世界大戦
前後が良く似ている。令和財政は大戦時より深刻ともいえる。
(6)どうしたら借金が返せるか?
 国債などの日本の国の「借金」は約1100兆円、国民1人あたり約800
 万円相当になります。現状ではまだまだ増えていきます。
  どうしたら借金が減るのか、家庭で考えると
 「質素倹約」して、家族全員で一生懸命に働き、出来るだけ収入を増やして
 地道に返済していく、少しでも金利の安い銀行に借り換える、不動産は
 早期に売却・・・いや、そんなことでなく、いっそのこと、止むにやまれず
 銀行などを借金を踏み倒して、夜逃げする・・
  国が「借金」を返済する方法は、下記のようなことになるでしょう。
 @デフォルト(債務不履行)・・・踏み倒し、2001年にアルゼンチンが
  行ったように「もう返せません!」あるいは「棒引きして!」
  現状の日本では、国債の買い手が、ほとんどが日本国内のため
  起こりにくいのかも?
 A高度成長又は増税
  かってアメリカなどが行っているが、つまり「稼ぎ」を増やすことです。
 または、2度の延期があったが、一昨年10月からの消費税増税
  (8%→10%→最終的にヨーロッパ並みの20%?) さらには
  30%もありか?
  東日本大震災には、復旧・復興債14兆円が発行されたが、うち11兆円
  が時限的な復興特別税(25年間の個人所得税増、10年間の個人
  住民税増、2年間の法人税増)により賄われている。同様にして
  令和2年のコロナ対策費用の大半(50兆円程度)も、経済状況が
  コロナ危機以前の状態に戻った時点から、20年くらいの期間を
  かけて追加的な個人所得税・住民税などで賄われる可能性が大です。
  所得が600万円〜900万円くらいの中間層に大きな影響が出て
  来るでしょう。
 Bインフレによる実質的な債務削減
  国債をさらに発行して、日銀に買い取らせ、国民の要望(介護、医療、
 年金、教育、保育など)をかなえる・・政治的には一番簡単。
  税によらない国家債務の返済としては、過去の歴史からしてインフレ
 による方法が一番可能性が高いのでは、と思われます。
 
(7)MMF経済理論
  最近、アメリカではMMT(現代貨幣理論)が話題になっているそうです。
 「インフレにならない限り政府は自国通貨建てで借金し、財政赤字を
  膨らませても良い」という主張です。
 見方によれば、現在の日本があてはまり、日本は世界に前例のない
 実験場にもなっているともいえます。
(8)誰も「国債増発」を止められない

時事通信(2020.12.16)より

 20年度の新規国債発行額は、コロナウイルス対策のため、当初予算から
第三次補正までの合計で、112兆円を突破している。
 リーマンショックに対応した09年度(51.9兆円)の2倍を超え、一般会計
予算の約64%を借金に頼るという、普通ではありえない形になっています。
 消費税や所得税などの税による国家債務の返済は過去の経過から
して極めて困難なため、2倍強の物価高騰をめざして(いつのまにか
そのようになるはず・・)価値が半分以下になった紙幣で、元本(借金)が
償還されていくしか方法が見当たりません。
 最終的には、国民や資産家の多大な犠牲の上に国債は償還されて
いくのでは・・   「歴史はくり返す」でしょう。
(9)若い世代にも安心できる社会制度が必要
  物が売れない、少子化が止まらない、1億総転落で新階級化社会
 超格差社会になりつつある、20年先、30年先は年金だけでは生活
 できないのでは・・ など暗い話題が目につくようになっています。
  一番の根源は、これからの日本を支える若い世代(35歳から50歳
 前後)の、将来の展望が見えないことだと思われます。
(10)政治家が一番の先生(であってほしい)
  先生と言えば、学校の教師、医者などをいうのが普通です。政治家は
 一般的に先生とは言いません。でも、5、6年前から劇場型のパーフォー
 マンスで政策を訴える市長が増えたように思えます。(特に関西)
  受かって(当選して)ナンボの大変厳しい職業・・政治家です。落選したら
 話になりません。「サルは木から落ちてもサルだが、政治家は選挙に
 落ちれば、ただの人」昔から語り継がれている有名なことばです。
  財源の目途がないのに、今話題の医療、介護、保育、教育などの分野
 に「あれもします、これもします」と、悪く言えば「バラマキ政策」を訴えて
 当選を目指す議員、首長が続出しかねません。
 コロナ禍もあり、現在では、ますます、その傾向が進んできているように
 見えます。
  フリーランチ(タダメシ)はなく、能力に応じた応分の負担(税の負担割合
 など根本的な議論が必要。現在の日本は格差社会どころか、超格差
 社会になりつつある)も必要だと、市民、国民に教え諭す政治家タイプも
 必要なように思えてなりません。

 参考図書、資料
  @中央公論 2017年3月号 特集 ふるさと納税の本末転倒
  A国会議員基礎テスト 黒野 伸一 小学館
  B上級国民/下級国民 やっぱり本当だった
      橘 玲  小学館
  C言ってはいけない 残酷すぎる真実
      橘 玲  新潮社 
  D日本経済新聞 2019,5,20号 6ページ オピニオン
    令和財政 大戦時より深刻
  E「10%消費税」が日本経済を破壊する 
    今こそ真の「税と社会保障の一体改革」を
                    藤井 聡   晶文社
  F文藝春秋 2020年新春特別号
       「消費税ゼロ」で日本は甦る 政策論文  
  G週刊東洋経済 2020年 2月8日号
   返礼品と手数料で半分消える、ふるさと納税 悲劇の結末
  H岩井克人「欲望の貨幣論」を語る 貨幣とは?
       丸山俊一 東洋経済新報社
  I経済学の宇宙 岩井克人 日本経済新聞社
        資本主義は本質的に不安定だ
  J新聞、インターネット掲載記事など  他多数


      ログハウス

   ウッドデッキから山小屋、ログハウスまで、企画・設計・製作・施工
     田舎暮らし物件、土地、家、建物、古民家の売買・仲介・管理
       奈良県知事(3)3883号
    (公社)奈良県宅地建物取引業協会会員
    (公社)全国宅地建物保証協会会員
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