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   「過疎化」それにともなう「空き家」対策、
      自治体でも喫緊の課題となっている
         「不動産」が「負動産」とならないための対策も必要
 下記は工房主の勝手な主観も入っています。あくまでも参考資料として
お読みください。

(1)増え続ける日本の空き家
  人口減少や過疎化、既存住宅の老朽化、社会的ニーズ(地域を支えている
 産業の衰退など)の変化に伴って、空き家が年々増加しています。
  総務省が実施している住宅・土地統計調査(5年ごとに実施)の、最新の
 データ、平成25年10月1日現在における全国の空き家の総数は820万戸
 住宅総数に占める割合は、13.5%で、過去最高となっています。
  土地・建物(不動産)は必ず値上がりするという「神話」は、全国的に見ても
 ごく一部の地域を除いて、すでに崩壊しています。目的(ニーズ)に合致しな
 い土地・建物は、買い手が見つからず、税金(固定資産税)や管理費を払う
 だけの「負動産」になる可能性が大です。
(2)人口推計、減少率ワースト10に県内5村
   国立社会保障・人口問題研究所が発表した「地域別将来推計人口」
 で、2045年の奈良県内の県内総人口は100万人を割る見通しが
 明らかになり、県、各市町村では減少率の数字に衝撃が広がっています。
  石炭から石油へとエネルギーの大きな変化で、地域経済が崩壊してしまった
 ことが大きな原因で財政再建団体になっている夕張市(減少率が74,5%)
 それを上回る村が県内に3つもあることは、「過疎化対策」が喫緊の重要な
 課題となっています。  
人口減少率(2015年と2045年比率)推測値
  1990年  2008年 2015年  2019年  2045年 減少率 
 川上村  3,459人  1,998  1,313  (1,175)人  270人  79.4%
 上北山村  1,094  718  512  (436)  122  76.2
 東吉野村  4,428  2,608  1,745  (1,544)  440  74.8
 野迫川村  842  556  449  (386)  123  72.6
 黒滝村 1,553  996  660  (602)  181  72.6
  *地域別将来推計人口;国立社会保障・人口問題研究所発表資料
    参考:奈良県発表の人口資料による、2015年;国勢調査
       2019年は 1月1日現在値
  参考:人口減少率が高い全国の市町村(2015年と2045年比率)推測値
     @川上村(79.4%) A北海道歌志内市(77.3%)
     B群馬県南牧村(77.0%) C上北山村(79.4%)
     D東吉野村(74.8%)  E北海道夕張市(74.5%)  
     G北海道松前町(72.8%)F群馬県神流町(72.8%)
     H野迫川村(72.6%) I黒滝村(72.6%)  
(3)空き家対策特別措置法
  市区町村が中心となって居住者のいない家を活用し、地域振興などに
 つなげるために空き家を紹介する制度。2015年に法制度が定められて
 から、全国的に取り組みがされている。
  「空き家」は、適切に管理されないと、建物の老朽化にともない倒壊の
 恐れもあり、それまでいかなくても雑草が生え樹木が道にはみ出すなど
 地域全体の安全、景観、資産価値などを損なうことにもなり、喫緊の課題
 となっています。
  奈良県下の市町村では、民間の仲介業者だけでなく、市町村独自及び
 市町村と連携した「空き家バンク」などとともに「空き家」が少しでも少なく
 なるよう努められています。
(4)雇用の場があってこそ、地域が元気になる。
  「自国第一」「雇用がなりより優先」を掲げたトランプ大統領、いろいろ
 と世界中で物議を醸し出している が、米国内では、支持率がそれなりに
 あるようです。地方創生でも同様で、「地方こそ優先されるべき」、「まず
 雇用の創出」「国民の税金を地方にも優遇を(交付税で地方に再配分
 されているが、ふるさとにもさらに光を:<ふるさと納税制度>」・・同じ
 だといえるでしょう。
  地域から人がいなくなる原因は、適切な報酬の仕事がないこと、だから
 こそ地域活性化で目指すべきは「所得向上」「付加価値の高い仕事の
 創出」です。100均ショップ、300均ショップで売られている商品レベル
 (100均で十分、300均なら、こんなものが300円で買えるのか、と
 驚くほどのレベルの商品が並んでいる)の生産、販売だけでは生活レベル
 の維持は無理です。「食える産業」の育成、存在が地域を活性化させる
 ことになります。
  従来分散して小規模かつ非効率に行われていたために、一人あたりの
 所得が低いケースもありえます。集約化を進め、生産性を上げ、付加価値
 を高めることでることで「所得向上」を図る・・人口減少をプラス思考で
 考え、「賢く地域が縮む」時代がきているのかもしれません.
(5)ふるさと納税制度
  地方活性化×カネ の話とくれば昨今、急速に話題となっている「ふるさと
 納税」でしょう。地方で生まれ育った人や都市部に住む人が、都市部に
 いながら「ふるさと」に納税することで、地方を応援することになるという
 税制優遇策でした。
  本来、性善説に基づいた法制度で、寄付行為の一環としてとらえ
 「理性」が前提であれば「美しい行動」で済むのですが、法の拡大解釈で、
 ネット上では「なくなり次第終了!100億円還元、閉店キャンペーン!
 Amazonnギフト券付きふるさと納税、2月・3月限定!」とまでくれば、
 この制度はもう無理です。(2019年2月12日現在、大阪近郊のある市)
  長い目で見れば、人間不信をもたらし、今後は、すべて「性悪説」を
 前提にした法体系となり、これは、生きにくさが伴うことにもなりかね
 ません。不幸なことです。
  長い目で見れば地方振興に汗をかいて取り組んでいる多くの人々の心を
 傷つけ、貴重な税金(国の借金1100兆円)の無駄使いにもなり、決して
 プラスにはならないでしょう。
(6)登記制度の問題点
  中山間地域の土地建物を相続された方より売却相談を受けた最近の
 事例では、登記名義人が祖父母であった件が見られました。代々、建物
 土地(農地)は、暗黙の了解のもと、相続人が決まっていたものと推測され
 るのですが、その次の相続人が売却しようとしても、父親の兄弟姉妹が
 多い場合、代襲相続人も含めれば20人を超える場合もあり、いくら努力
 しても、最終的な相続人を確定することが不能の場合もありえます。
  2019年2月に、法務省は下記1)〜3)を2020年秋の臨時国会に向けて
 民法の改正案を提出する運びです。
  1)相続登記を義務化する
  2)所有権を放棄する制度の創設
  3)遺産分割協議に期限  
 それぞれに、1)では、罰金など実効性を確保する案は?
         2)では、受け皿や税逃れの防止策は? 
         3)では、適正な期間は?
  現在の民法では,、土地所有権の放棄は認められていません。所有権
  は土地の適正な管理や税金(固定資産税)の支払いなど、所有者の
  義務とセットになっているためです。
   中山間地域では、最近では、土地の実勢価格と評価額とが大きく
  乖離していて、地目が宅地、あるいはそれに準ずる場合では、50坪程度
  で年間1.5万円、300坪ともなれば年間8万円程度は固定資産税を
  払う義務が生じています。
   高齢者、その相続人には悩ましい問題になりつつあるのが現状です。
(7)「出合い」について
  仲介業務で多くの方々とお知り合いになりました。大阪近郊から奈良の
 中山間地区の村に移住した方に伺った話では「都会とは大きな違いは
 ありませんよ」とのことでした。年配の方でしたが、集落の「集まり」や
 地区の消防団などの役も話があれば、快く引き受ける方でした。
  まあ、ある方は、嫁いで40年くらいになるが、話が弾むと、きまって昔の
 「出合い(ある地方の表現で、地区の共同での作業、寄合いなどを意味して
 います)がつらかった、涙がでるほどだった」と言われます。
  また、大阪から三重県の中山間地区に「移住」された若い方は、
  「消防団にも入ってみたいな」と前向きな姿勢で新生活を計画されて
 いました。
  最近、奈良県、大分県で「村八分」に関する人権侵害の報道が話題に
 なっています。今時、まだ「村八分」なんてあるのかと、ビックリです。
  古い集落の周りに建売住宅が販売され、いろいろな地域、世代が混ざり
 合った場合などでは、自治会費の徴収方法、使途(特に村の神社に
 寄付するなど)、ごみの処理方法、子供会へのかかわり方などで、考えの
 相違が出てくるものです。
  「郷に入れば郷に従え」で済めば簡単ですが、「どうしても許せない」
 となると、「濃密な田舎」では、到底、日常生活ができません。
  特に、神社、祠などついては集落の形成と大きくかかわっている面も
 あるようです。安産祈願、子供の成長とともにおこなう七五三、新築祈願で
 神社(神主)、結婚では教会(司教)、お葬式にはお寺(坊主)、
 12月にはクリスマスツリーと、一般の日本人は、宗教を都合よく生活に
 生かしている面もあります。
  50年、100年と営々として続いてきた集落が、移住者(異分子)にかき
 乱されたら、堪ったものではないの気持ちも理解できます。
  裁判沙汰ともなれば、もう修復は不可能です。移住者、村民、地域全体
 がお互いに、「三方よし」、Win・Win・Win の関係が築ければ最高です。
 移住する人は、十分な事前調査をするとともに、大きな度量で飛び込んで
 新生活を切り開く気持ちも必要でしょう。


 参考図書、資料
 「地方創生」、「空き家問題」に関しては多くの書籍などが出版されて
 います。
  @解決! 空き家問題    中川 寛子    ちくま新書
  A親の家のたたみ方     三星 雅人    講談社新書
  B実家のたたみ方      千葉利宏     翔泳社
  C空き家問題         上田真一     日本經濟新聞社
  D空き家急増の真実    米山 秀隆     日本經濟新聞社
  E週刊東洋経済   2017,1,28号 持ち家が危ない
  F週刊東洋経済   2017,10,14号 地価崩壊が来る
  G地方消滅  増田寛也 編著  中公新書
  H地方消滅の罠  山下 祐介 ちくま新書
  I人口減が地方を強くする 藤波 匠  日経経済新聞
  J地方創生は日本を救うか  小川、山口   NTT出版
  K学校が消える!   安達、山本編   旬報社
  L読売新聞 2018.4.8 奈良版 減少率ワースト10に5村 
  Mインターネット掲載記事  他多数


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