|
田舎暮らし物件には
完璧なものは、まずありません。
「重要事項説明書」を熟読し
納得してから、取引してください。 |
<田舎暮らし>法律の基礎知識「その2」
今までの経験にもとづき、ホームページの<田舎物件、留意事項>の
記載事項をご理解いただくよう努めています。
また、トラブルを避けるためにも、最低限、下記事項の法律的な基礎事項
を、必要に応じて、詳しく説明させていただいています。
(1)都市計画区域と線引き
・都市計画法制定の目的
小学校の隣が居酒屋であったり、車の出入りの激しい工場である
とか、高層オフィスビルと低層住宅が交互に並んでいる、といった
状態であると、街としては不便で暮らしにくいものとなります。
こういったことを防ぐために、都市計画法という中心となる法を
定め、建築基準法とともに、計画的な街づくりがされるよう努められ
ています。
日本の国土を大きく2分して
@都市計画区域 都市計画法などの規制を全面的に受ける
・市街化区域(必ず用途地域を定める)
・市街化調整区域(原則として用途地域を定めない、住宅建築は
不可)
主に大都市圏または地方県内有力市が該当
・非線引き区域(用途市域を定めることができる)
地方の中小市町村が該当
A都市計画区域外
この中には準都市計画区域も含まれる。
国土面積の約4分の3、人口は10%以下
人の集まる可能性の高い平野部を、各種の規制を受ける対象@
とし、限られた人しか住まない山間部は規制の対象から外すA
としたとも言えます。
(2)都市計画区域外を規制対象外とした理由
都市計画法を頂点とする法体系の大きな目的は「住みやすく
火災などの災害に強い街づくり」です。
そのため、人の多く住んでいる所をしっかり規制して、安全を
十二分に確保することを優先しています。
一方、人の多く住んでいない所は、「私有財産の自由」を尊重して
制限をできるだけ少なくしよう、という考えにたち、原則として
諸規制の対象外としています。
(3)線引きと市街化調整区域
「線引き」とは、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に
分けることをいいます。
市街化を促進する地域と抑制する地域に分け、効率的な住環境の
形成を促進すると同時に、無秩序な開発を防止することが目的です。
都市計画法での区域区分と同じ意味です。
(7)の写真Aは集落の中にある売地ですが、調整区域にあるため、
建築可能な人は、農業を営んでいる、あるいは福祉関係などの公益に
資する建物などの制限があります。Bはさらに厳しい規制があります。
当然、制限が厳しくなるほど、買い手は限られた人しかいないことに
なり、地価(評価価格)は、格段に低くなってしまいます。
(4)建築確認申請
建築基準法は、設計内容などが同法などの基準に合うかを
着工の前に確認する「建築確認」と「完了検査」を建築主に義務
づけています。問題がなければ自治体や民間の指定確認検査
機関から「確認済証」「検査済証」が交付されることになっています。
「工房すみれ」の営業区域が主に都市計画区域外で
建築確認申請を必要としない(ただし「届」は法的に必要)物件が多い
ので、建築確認申請をし、最終的に「確認済証」を備えた物件
はごく稀です。(*公的融資を受けたため、確認済証があった
事例はあります)
都市計画区域内の中古住宅では、価値判断の一つとして
建築確認申請書だけでなく最終的な「確認済鉦」があることも大切
です。実態では、約20年前では取得率が4割、耐震偽装事件が
発覚した約15年前で、やっと7割程度です。
中古住宅は、築10年〜15年程度で売りに出されるケースが
多いですが、市場では「検査済証」がない物件が多く出回っている
可能性が高いと言われています。何らかの事情が隠されている
と思っても相違ありません。十二分に注意する必要があります。
(5)接道義務と「再建築不可物件」
「再建築不可物件」の根拠となる法律は、建築基準法第43条です。
・建物を建築する土敷地は、建築基準法に定める道路に
2メートル以上接しなければならない
・建築基準法の道路の幅員は、原則として4メートル以上
具体的には
@昔からある道路で、幅員が4m以上のもの
A昔からあるが、幅員が4m未満しかない道路
「42条2項道路、みなし道路ともよばれる」
B幅員4m以上の道路で、特定行政庁の位置の指定を
受けたもの「位置指定道路」
道路が誰のものか(公道、私道)、これを登記簿などで、正確に
把握しなければなりません。特に私道の権利関係が一番重要と
なります。
*再建築不可物件は、旧市街地、古い集落などではよく見られ
決して、珍しいものではありません。
(6)田舎暮らし物件には、完璧なものはまず無い。
@南向き A最低100坪程度のまとまった土地 B平坦
C周りの環境が良い Dなるべく公道に接しているか、又は
進入路の幅が最低4m以上 E公的水道が敷設
F浄化槽が敷設可能 Fケーブルテレビ視聴可能
G携帯電話可能 H土地、建物、道路の権利関係がはっきりしている、
などなど 希望は多くあるでしょう。でも、
都市近郊の、最低10年〜20年もの長い時間をかけて区画整理し
開発、分譲、建築、販売されたような物件は、田舎暮らし物件では、
まず見かけません。どこかで妥協する必要に迫られます。
(7)目的は何か・・一番重要です。
|
|
|
|
|
@白浜椿温泉 |
A桜井市穴師 |
B橿原市藤原 |
海辺のマンション |
売地(調整区域) |
建築可能なら最高! |
「工房すみれ」では、お問合せいただいた時には、僭越ながら
「目的は、何なんでしょうか?」と、まず、お尋ねしています。
約25年前のバブル時代ではありません。家族みんなで、思いっきり活用して
いただけることを第一に、提案させていただくように努めています。
(8)重要事項説明書の熟読を!
宅地建物取引主任士が記載する「重要事項説明書」は
対象不動産の @権利関係 A法令上の制限 B状態やその見込み
C契約の条件 が記載されてます。適切に記載、説明され、責任を負う
ことの対価として報酬が支払われることとなります。
(9)管理費などの年間経費
奈良、三重県内では、早いところでは昭和40年前後から、ピークは昭和後期
から平成7年頃までで、多くのセカンドハウスが建築されています。
100軒ぐらいの大規模で、管理人常駐のところもあれば、5軒程度の
小規模な分譲地に建築された場合、温泉の有無、公的水道がなく
共同の井戸で給水、など形態はいろいろです。
(7)の写真@のように、温泉は入り放題、管理人(コンシェルジュ)常駐
で、カバン一つで行けて、いつも清潔で管理が行き届き、快適なセカンド
ハウス生活を、家族で手軽に楽しむ形態もあります。
それぞれに長所、短所があります。維持、補修などの年間管理費用は
トータルで見れば大差はないように思われます。
最後は、何のために購入するのか、家族で十分に話し合い、活用して
元を取る、こうあってほしいものです。(高級乗用車でも、10年経過
すれば、評価は、ほぼゼロになります。田舎物件も、資産と考えるのは
どう考えても無理があります。家族みんなで楽しんで、人生は1回限り
良き思い出を残して元をとる、と考えると後悔しないでしょう。)
(9)高齢化社会での課題
高齢化が進行し、4人に1人以上が65歳以上になっています。
平成初期に、ログハウス、山小屋などのセカンドハウスが、数多く
建築されていますが、オーナーも世帯交代の時期になってきています。
家、土地の不動産は、放置すれば、当然、急速に荒れてきて、近隣の
方々にも迷惑がかかるため、@子や孫に相続(無償譲渡)
A売却 B公的機関に贈与(原則としてなしと考えてもよい) などが
考えられます。
命に次いで大切な不動産取引では、当事者の意思能力に少しでも懸念が
あるときは、権利移動を進めることが困難となります。急速に進む高齢化
社会での大きな課題となっています。
(10)土地、建物をめぐる法律
(a)土地・建物の取引のルール
@不動産登記法 A区分所有法 B借地借家法
C宅地建物取引業法 D土地価格の規制(国土法・地価公示法)
Eその他に農地法、都市計画法
(b)土地・建物を作るときのルール
@都市計画法 A建築基準法 B宅地造成規制法
C消防法
(c)権利と義務を守る仕組み
@民法 この法律がすべての土台となっている重要な法律。
A住宅品質確保促進法 B瑕疵担保法
*都市計画区域外の地域で、法律の規制がゆるいため
合法的であっても、どう考えても無理に建築していると思われる
所も見られます。旧市街地でも、再建築の場合セットバックが
必要とされる理由は、個々の権利(土地所有権)を守ることも大切だが
住環境を向上させるという義務とのバランスも大切なことです。
(11)やっぱり「田舎が最高だ!」、工房主の勝手なツブヤキ
当工房にお問合せいただく方は、大阪近郊の住宅密集地域の方
が多くおられます。吉野などの、緑が多く、広々としてのどかな環境の所
に住んでおられる方から、謙遜も当然あるのですが
「なんでこんな辺鄙なとこがいいのか理解できんわ、もっと良いとこ
あるのに」と言われることがあります。都会では、とても体験できない
ことが多くあり、「田舎で暮らすことが最高の贅沢」と思われることも多々
あります。
* 法律の基礎知識「その1」、「その3」 もご覧ください。
参考図書、資料
・不動産実務総論 森田 義男 日建学院
・物件調査のポイント 吉野 伸
宅地建物取引業協会連合会
・読売新聞 2017年5月30日
中古住宅「完了検査なし」流通
ログハウス
ウッドデッキから山小屋、ログハウスまで、企画・設計・製作・施工
田舎暮らし物件、土地、家、建物、古民家の売買・仲介・管理
奈良県知事(2)3883号
(公社)奈良県宅地建物取引業協会会員
(公社)全国宅地建物保証協会会員
工房 奈良県吉野郡東吉野村平野1252−4
事務所 奈良県香芝市高山台2−16−46
TEL、FAX 0746−44−0146
http//:www5.kcn.ne.jp/~nakano
E-mail:k-sumire@m5.kcn.ne.jp
|
|