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    不動産取引は、<慎重>に!
     家族とも、十分相談して
      行ないましょう。


 <田舎暮らし>法律の基礎知識「その3」
    今までの経験に基づき、法律、経済的な基礎知識を記載しています。
   工房主の人生観、経済観(勝手なつぶやき)も入っていることを
   ご了承ください。
  ・・・・
  マイホーム(不動産)を購入する際、頭金をあまり用意せず、ほぼ全額を
 住宅ローンで賄う人が増えています。
  低い金利水準(過去40年では考えられない水準)、手厚い住宅ローン
 減税など、今、家を買いたくなる要因があるからでしょう。
  でも、自己資金に余裕がないまま多額のローンを組めば、将来、返済
 負担で身動きが取れなくなるリスクがあります。
(1)抵当権、根抵当権、物上保証
   抵当権:住宅ローンで家を購入するときは、金融機関から家(土地も)
  を担保に入れるよう要求されます。返済が滞った時に、金融機関は
  その不動産を売って貸出金を回収するためです。この権利を
  「抵当権」といっています。順位として、一番、二番・・とあるが、
  返済優先順位をさし、一番の金融機関が回収した残りを二番以下が
  回収のため、金融機関は当然、一番抵当権にこだわります。
   根抵当権:「商い」「事業」をしている人には、なじみがありますが
  一般の人には、「なんのことや」でしょう。
    民法第398条の2第1項に
  「一定の範囲内の不特定の債権を極度額の範囲内において担保する
  ために設定された担保物件」とあります。上限の金額を「極度額」と
  いい、その範囲内であれば、何度も借りたり返したりしても、抵当権は
  何も変更しない、ずーとそのままにしておくこと出来ます。見方によれば、
  大変便利なシステムともいえます。
   物上保証:担保となる不動産を第三者から提供してもらうことです。
   よくあるのが、親が所有する不動産を担保とする場合です。
(2)借金について
  借金をする際の担保には
  @本人名義の不動産、これが最も一般的。住宅ローンであれば
    一番抵当に限るが普通です。
  A第三者名義の不動産
   「物上保証」といい、親族名義が多い。
  B上場株式、自動車、売掛金などでも理論的には可能、
    (住宅ローンでは、ごく稀)
    権利関係の登録制度があるときは担保にできる。
  借金が返せないとき
  @金融機関と話し合い、返済条件の変更で合意できる場合もある。
  A担保不動産の任意売却または競売 
    一般的には、まず任意売却の検討、競売価格は市場価格より
    かなり安く売却されるのが一般的。
  B売却代金で金融機関に借入金の返済
  C返しきれない分は無担保の借入金(ローンがつづく)となる。
(2)歴史的な低金利
  住宅ロ−ンの金利が、過去40年ぐらいを遡ってみても、考えられ
 ないぐらいの低金利になっています。(参考:全く同じ条件では
 ありませんが、現在多く利用されているフラット35の金利推移を
 下記に掲載)
  長年続いた低金利。最近の金利推移を見ると、3%であれば
 高いと思うのはごく自然なことです。銀行の変動金利の宣伝では
 0.5%を切る商品も出ています。ただし店頭金利から最大優遇が
 適用された場合ですが、それにしても低い貸出金利です。
  *もちろん、預金金利は、1,000万円の定期預金では、年の
   利息がわずか、税引で2,000円程度。20〜30年前には
   考えられないほどの利息です。(これでは利息ともいえない!
  *過去2回ほど、公庫融資金利が8%台になっています。
    国の借金(国債)が1000兆円、金融政策(量的緩和
    政策など)、住宅産業がGDPで大きな割合)などから、今後
    大きく金利が上がるとは思われないが、でも経済分野は
    一寸先は闇、「当たるも八卦、当たらぬも八卦」ぐらいの
    気持ちをもっていて丁度ぐらいでしょう。
  参考資料
     旧公庫融資基準金利の推移            
     昭和50年〜平成10年(単位%)PDF
     平成11年〜平成20年(単位%)PDF
     平成21年〜平成26年(単位%)PDF
     平成27年以降(単位%)PDF
(3)「頭金0」に潜む大きなリスク
   新築はやっぱり気持ちがいいですね。まだ誰も住んだことのない
  まっさらな(真っ白な)部屋やキッチン、トイレ、お風呂などに
  最新の設備、。綺麗好きな日本人は、家も車も新品を重宝します。
   チラシには、総額(土地、家)で2780万円、諸費用120万円
  頭金は不要、毎月払い78,200円、家賃並みの返済・・・とうたって
  います。・・・
   とくれば、若い世代であれば、誰でも心がグラグラときて、その気に
  なりそうです。
  (ただし、条件として銀行ローン35年返済、金利0.725%
   変動、優遇措置が最大の場合、貸出銀行は2つになり、2つ目は、
  無担保部分が割高の金利になる場合がある)
   でも、ここで十分留意すべきことがあります。
  購入後、失業、転勤や転職で引っ越しを迫られたり、残念ながら
  離婚せざるを得ない状況や、親の介護なども考えられます。
   超一流の会社でも倒産、解体などでリストラがあったりする時代
  です。公務員といえども安泰ではありません。(大阪での過去5年
  ほどの経緯を見れば一目瞭然です。)
   当面の生活費としての500万円を別にして、最低でも購入価格の
  3割(物件価格3000万円であれば、最低1000万円の自己
  資金)は必要であるといえます。
(5)不動産は「負動産」にもなりうる可能性がある
  「夢のマイホームを手に入れた!」 一戸建て住宅やマンション
 を購入したときは、みんな喜びをかみしめ、明るい未来を描くもの
 です。若い時は特にそうです。(工房主の経験談)
  だが、時を経て状況が変わってくると、その持家が一転して
 「悩みの種」になる可能性がでてきます。これは田舎だけとは限り
 ません。 
   大阪府 全体で14.5% 空家率1位 東住吉区 23.7%
   奈良県 全体で13.3% 空家率1位 大和高田市25.4%
   三重県 全体で14,8% 空家率1位 熊野市 25.8%
   比較的都心に近いところでもこのような状況です。
  田舎へ行けば空家が目立つ所も少なくありません。
  2033年(15年後)には、全国的に見れば、空家率は30%
  を超えるだろうと予測されています。
   一方で2016年の住宅着工戸数は96万7千戸と前年を6.4%
  上回り、13年以来の高水準です。低金利に加えて節税対策で
  貸家を建てる人が多い為と見られています。
   人口減少ははっきりしているので、空家が増えれば、住宅、
  マンションは売るに売れない(思う値段で)状況になります。
   国での長期的な住宅政策とともに、個々では、家族とも十分
  相談して、不動産の購入をすべきことは言うまでもないでしょう。
(5)「貸すも親切」「貸さぬも親切」・・・金融での格言
  2、3年前までは、ラジオ、新聞の宣伝ぐらいだった過払い金
 請求の宣伝が、最近では、司法書士、弁護士事務所よりテレビでも
 盛んにされるようになってきました。
  スポンサーのお蔭で「番組が聴ける、見れる」わけで、文句の言える
 筋合いではないのですが、でも、ツライです。スイッチを切りたくなる
 心境です。
  「たとえ担保が十分であり、高い利息が得られたとしても、投機や
 遊興費など先様にとって不健全なお金は貸さない。貸したお金が
 先様にとってお役にたち、感謝されて返ってくるような、生きた
 お金を貸さなくてはならない」ある金融機関の経営者の言葉です。
   「売ってナンボ」「貸してナンボ」「借りてナンボ、借金できるのも
  甲斐性」・・立場により、こんな言葉が出てきそうです。
 でも、家庭が破綻しては「幸せな家族」は、作れません。
 *過払い金請求
   利息制限法では、上限金利年15%〜20%,、また出資法という
  法律では、借り手側が任意で納得して支払っているという条件が
  あるが、最大29.2%まで認められていました。(この差が
  グレーゾーン金利) 複数の業者から借金を重ね、深刻な場合は
  自殺まで陥ってしまう多重債務者問題は大変な社会問題になりま
  した。2006年の、最高裁判決でこのグレ―ゾーン金利が無効である
  とされ、このことが過払い金請求となっています。
   現在では、総借入残高は年収の3分の1とする総量規制がされて
  いますが、銀行カードローンは別で、新たな火種になるのではと
  危惧されています。
(6)最後に
 「毎月無理なく返せる金額を見積もり、身の丈にあった借入額に納める」
 「みんな幸せな人生、幸せな家族でありたい」を求めています。
  でも、余裕を持たせなければ、「幸せ」は実現しません。
  *工学分野で「遊び」という概念がよく使われますが
    いかなる事態にも対応できるよう設計するなどを意味しています。
    考え方は同じです。


 * 以下、法律の基礎知識「その1」「その2」 もご覧ください.

  参考資料
    @週刊東洋経済  2017年 1月28日号
       マイホームが負動産になる
       持ち家が危ない
    A週刊東洋経済  2017年 2月4日号
       貸金業法改正から10年
       当世カネ貸し事情
    B読売新聞 2017.2.21 銀行カードローン調査
        金融庁実態把握、過剰融資の報告例
    C日本経済新聞、読売新聞、インターネット掲載記事
      など


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