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     「木材加工」には
       いろいろと工夫がされている
(1)背割り作業
   丸太の割れを抑えるために、写真@のように、あらかじめ丸太の表面
  に入れる「切れ込み」のことをいいます。この切れ込みが、乾燥過程で
  発生する割れの代わりになり、別の場所で発生しにくくなる仕組みです。
   木口(こぐち)は、背割れがない方が、きれいに見えますが、残念なが
  ら、丸太のひび割れの原因の一つになります。(他に、乾燥が不十分など
  が考えられます。)
(2)「芯去り」と「芯持ち」
  強度重視、大きな材を取りたい場合では、「芯持ち」にすることが多い。
 ただし芯からひび割れなど、「あばれ現象」がでてきます。
  「芯去り」で大きな材を必要とする場合、樹齢700〜1000年越えの
 巨大木が必要となってきます。
(2)セトリング対策
   木は、縦方向に使用するのが、上からの荷重に耐えることができ、一番
  自然な使い方です。
  (* 立派な民家でも、大きい部屋の窓が閉まりにくいのを見かけます。
   横方向の梁が、瓦屋根の荷重などの上からの荷重に耐えられなくなって、
   反っているのが原因です。)
  現在では、縦方向には木材を使い、横方向には鉄フレームを併用している
  工法(大手住宅販売会社などが力をいれている)もあります。木材の適切な
  使い方ともいえます。
   角ログ、丸太ともに、横に寝かして積み上げていくと工法では、木材の
  沈み込みに対する組み立て処理をしておかないと、ドアが閉まらない、
  あるいは、部屋の隅に大きな隙間がある、什器が圧力でゆがんでしまう
  などの支障がでます。
  建築されたログハウスのなかには、残念ながら、築5〜10年ぐらいで出 
  てきているのを見かけます。建築には、ログハウスに対する正しい知識
  、高度な施工技術が必要です。

@杉丸太材(背割り加工) Aこれぞログハウス! B丸太ログハウス
切れ目はかなり大きい 大変美しい。 サドル(鞍部)

写真C 丸太ログハウス 
  玄関ドアの右側の積み上げた丸太に、   
  「背割れ加工」が見える。美観的には
  ない方が良いように見えるが、玄関左
  のログには割れが一切見られない。  


写真D 芸術的な丸太加工
  東屋、渡り廊下の施工例です。
 背割れは、下から見えない所に施さ
 れています。技量のある棟梁、大工
 と、あらゆる面で理解のある施主
 (依頼者)の共同作品といえます。

写真E ヒバの集成材(土台)
 コンクリ−ト基礎の上に、基礎パッキン
 を置き、その上に、集成の土台を置いて
 いる。一流の建築会社では、設計の
 細部に、ポリシーがあります。

写真F
  有名な喫茶店の天井写真です。
 外観のデザインも優れているが、
 内部は、木材の良さ(暖かみ、清潔感
 など)が最大限に引き出されている
 ように思います。構造材(米松)
 天井板(杉)

G無垢の角ログ H角ログ。見えにくいが I角ログ(3枚合わせ)
少しひび割れがある。 2枚合わせです。 ひび割れがしにくい。

J公共施設の梁 K桧角柱材 L樹齢約600年
ひび割れが目立つ 背割れ作業済み 天然杉の巨大木

M杉無垢の天井板 N茶室(木の舘豊寿庵) O杉桧材のみ使用
芸術作品(場所N) 三重県伊賀市川北 階段(場所N)

 「木は無垢(むく)が良い」、と述べられている書籍を見かけます。無垢材とは
自然の木そのもので、強度や防火性能、断熱保温性、吸音効果、調湿性能
などの優れた性能をもっているのですが、乾燥が不十分であったり、良質の
木材でなけれ
(1)建物が完成した後、桧や杉の柱、梁が暴れて変形し、室内の内装材に隙間
  、ひび割れができる。
(2)すべて、無垢の桧の柱で建てた注文建築なのに、夜中にパリッと大きな
   木の割れる音がして、びっくりした。(過去の経験)
 これらは、木材の性質に理解の無い人では、建設会社やハウスメーカーへの
 クレームとなり、法的トラブルのもととなりかねません。
(3)桧の柱、梁であれば、「雨ざらし最低20年、屋内で最低7年は必要だ。
 これくらいでないと、柱、梁などの構造材には使用できない」とまでいわれ
 ています。一般の住宅では、無垢の木の良さは、理屈でわかっていても
 使用は予算的にも、到底無理です。
  Jは公共施設で、入札で価格的に厳しいため、材料の選別が不十分
 が原因と思われます。予算、納期などの制約が厳しい場合、無理な工法は
 避けるべきでしょう。
  寺院の柱には、Lのような樹齢1000年越えの桧の巨木を「芯去り」で
 製材してつかわれているが、日本には、巨木の桧が、ほとんどないため
 台湾桧が使用されています。
(4)より一層、説明責任が求められます。
  木には、節は当然あります。また、どうしても若干のひび割れ、収縮などの
 現象がでてきます。建物を請け負い、販売する側は、購入者側に正しく、
 木材の特性などを説明する責任があります。
  予算との兼ね合わせもでてきますので、木材の良さを生かした、適切な
 使用、加工、販売が求められます。そのことが林業振興につながっていく
 と思われます。

 参考図書 
     ・「木のいのち 木のこころ」 西岡 常一  草思社


 参考ホームページ
     ・吉野中央木材(株)
      http://www.homarewood.co.jp/lumbermill-document-7.html
   *「木表と木裏」,「芯の有無」、「板目と正目」、「赤味と白太」など、
    木材、製材に関する知識が丁寧、かつわかりやすく記載されて
    います。さすがプロです。是非ご覧ください。
 


        ログハウス

   ウッドデッキから山小屋、ログハウスまで、企画・設計・製作・施工
     田舎暮らし物件、土地、家、建物、古民家の売買・仲介・管理
       奈良県知事 (3)3883号
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