原文

関西弁

「第2幕・キャピュレット家の庭園」より

ロミオ

なんだろう。あの向こうの窓から射して来る光は。
あれは東、すればさしずめジュリエット姫は太陽だ

ジュリエット

あああ!

ロミオ

おお、光輝く天の使よ、もう一度口を利いて下さい。

ジュリエット

ああ、ロミオ様、ロミオ様、なぜロミオ様でいらっしゃいますの、あなたは。あなたのお父様をお父様でないといい、あなたの家名をお捨てになって。それとも、それがおいやなら、せめて私を愛すると、誓言していただきたいの。

ロミオ

ただ一言、僕を恋人と呼んで下さい。すれば新しく洗礼を受けたも同様。
今日からはもう、たえてロミオではなくなります。

ジュリエット

それにしても、どうしてここへ。あなたという人の身分柄を考えれば、もし、家の者にでも見つかれば、死も同然のこの場所へ。

ロミオ

こんな塀くらい、軽い恋の翼で飛び越えました。
ジュリエット様。僕は誓言します。見渡す限り、樹々の梢を白銀色に染めているあの美しい月にかけて。

ジュリエット

ああ、いけませんわ。月にかけて誓ったりなんぞ。一月ごとに、円い形を変えてゆく、あの不実な月、あんな風に、あなたの愛まで変わっては大事だわ。

ロミオ

では、何にかけて誓えばいいのです?

ジュリエット

誓言など一切なさらないで。でも、どうあっても仰るのなら、ロミオ様御自身にかけて、誓っていただきたいの。あなたこそは私の神様、あなたのお言葉なら信じるわ。

「大阪西成のとある長屋。二階の物干し台にて」

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ロミオ

なんや。あの物干し台で洗濯モン干してはる人は。
あれはジュリエットやおまへんか。あっちは東の方角。ちゅうことはさしずめ彼女は「お日いさん」やなー・・。

ジュリエット

いやーっ、ロミオ! ロミオやないのおっ!

ロミオ

わー、天使みたいに輝いとる・・・。もういっぺん口利いてくれへんかなあ。

ジュリエット

ああ、ロミオはん、ロミオはん、なんでロミオはんやの、あんたは。
あんたの親分を親分やないゆうて。あんたの組を捨ててんか。
それとも、それがいややったら、せめて「うち好きや」ゆうてほしいねん。

ロミオ

ただ一言、わいを「好きやん」や言うてくれへんか。そやったら、足洗ろうたんと同んなじや。
今日からはもう、たえてロミオやないで〜。

ジュリエット

そやけど、どないしてここへ。あんたっちゅう人の身分柄を考えたら、もし、家のもんにでも見つかってしもたら、死ぬのと一緒やっちゅうのに。

ロミオ

こんな「塀」やなんか、「ヘー」でもないわ。

ジュリエット

「バシン!」 (ジュリエット。はりせんでロミオをどつく)

ロミオ

ジュリエットはん、わいは誓うで〜。どっからでもよう見えるあの通天閣にかけて。

ジュリエット

ああ〜、あきまへんあきまへん。通天閣みたいなもんにかけて誓こうたりなんかしたら。天気によって色変えよる、あんな不実な通天閣。あんな風に、あんたの愛まで変わってしもうたら「エラ事」やわ。

ロミオ

ほな、何にかけて誓こうたらええん?

ジュリエット

誓言やなんて一切せんとって。でも、どないしても仰ぎはるっちゅうんやったら、ロミオはん自身にかけて、誓ってほしいねん。あんさんこそ私のビリケンさん、あんたの言葉やったら信じるわ〜。