その内容は、水道水1立方mあたり2,5円を全国一律に課税するというものであった。しかし、水源地は違う条件のもとに散在し、税金の使途も受益者の特定もあいまいであるということから、ついに日の目を見ることがなかった。
そして、その頃から日本の森林は際だって荒れ始めた。木材価格の留まることのない下落、放置森林の増加、水源涵養機能も徐々に低下して、利水ダムの富栄養化や水質汚染が問題化した。これからもさらに森林への期待と関心が高まる反面、林業の衰退、農山村の荒廃、過疎化が進み、なすすべなく水環境への問題意識は空転してしまうのだろうか。
そのようにならないためにも下流の人々の声が上流に届き、上流から流れ出た清涼な水が都市部の蛇口にまで届くシステム作りを、もう一度『水源税』を通じて呼び戻す時期に来ているように思う。上流に住む私が言うのも気が引けるが、森林機能の回復、一方で河川を大切にする意識啓発への投資と考えていただきたい。
岡山県、高知県に続いて、奈良県でも『森林環境税』が06年の四月から導入される見とうしとなった。アンケートの結果『反対』と答えた人はわずか6%であった。 議論の余地は残されそうだが、ようやく上流の村にも少し光が届けられたように思う。 2005年1月1日