2003.2.2(日)
朝食はホテル内の「Brasserie」でバイキング。まぁまぁこんなもんでしょうなぁっていう感じだった。
荷物をまとめてチェックアウト、出発ロビーへの誘導・チケットの受け取り等々、私のお仕事はてんこもり、龍哥は近頃めっきり少なくなってしまった「喫煙所」探しに忙しかった。それにしても、本当にほとんどと言っていいほどないんですよね、タバコの吸えるトコ。この旅行で、何度喫煙コーナー&喫煙室探させられたことか。これを機会に禁煙出来れば良かったんだけど。
セキュリティーチェックを受け荷物を預けて、またまた探すのは喫煙コーナー。そろそろ税関通っておかなくちゃと下の階へと進む。 いつもどおりに「出国カード」を探すのだが何処にも見当たらない。それにしても周りのみんなは平然としている。なんだかオカシイ。龍哥はそんな事全然気付かないでいるし、言っても意味解りそうにないので一人頭を悩ませていた。ふと、あるちっちゃ〜い張り紙が目に入る。『平成13年度から日本人の出国カードはなくなりました。』なぁ〜んだ早く言ってよ。
私がLeslieを観に行った2000年の夏以降に制度が変わってた事を知らなかったんだ。あぁ〜あ…ファイナルコンサートに行ってれば気付いていたのになぁ・・・。出国カードが廃止されて、税関を通過する時間が驚くほど短縮されていた。そんなに慌てる事なかったなぁと思いつつゲートを越える。入った辺りのゆったりした椅子で時間を潰す事にしたが、龍哥はまたまたタバコが吸えそうな喫茶コーナーを見つけて一人移動していた。
すっかり寛いでしまって、気がついたら搭乗時刻ギリギリの30分前ではないか!目の前にある案内板をずっと見ていたつもりだったのに…。(どうして時計を見ていなかったんだ・・・普通時間で気付くよね 苦笑)。 慌ててシャトルに乗り搭乗口へ急ぐ。なんだか地上職員の人達がバタバタ走り回っている。何してはんねんやろ・・・って呑気に見てたけど、よ〜く考えると私達がまだ来ないので大騒ぎになっていたらしい。機内に入ると、なんだか周囲の視線が突き刺さる。皆さんごめんなさ〜い。無事、私達を積み残すコトなくNH175便は香港へと飛び立った。
さて、香港の空港に着くとホテルまで乗せてくれるバスが迎えてくれた。本当にフリーなら空港特快で九龍まで乗れていいんだけど、ツアーに申し込んじゃったから、またまた空港までは有難いんだかなんだかの送り迎え付き。担当の現地スタッフのお名前はBenLeeさん。まさか日本人観光客の為に付けたニックネーム(便利さん)じゃないよね〜って、しょーもない事を考えながら小さく笑う私。そして、同乗していた日本人のスタッフが、両替やらお決まりの香港での心構えの説明やらをしてくれたのだが、顔立ちはどう見てもおっちゃんなのにオネエ言葉というギャップに最後まで馴染めなかった。
ホテルまでの道のりがほぼ終わる頃、廣東道(カントンロード)に差し掛かる。お目当てのひとつ『糖朝』がお店を開けているか眼を凝らして見てみたが、シャッターに貼り紙があってどうも何日間かはお休みらしい。まぁ、ここだけが食べ物屋じゃないんだからと軽く流す。 やがて、バスは我々の宿「凱悦酒店(ハイアット・リージェンシー)」に到着。前回訪れた時にも泊まった宿で、地下鉄の尖沙咀(チムサーチョイ)の駅まで徒歩1分なのがお気に入りの理由だ。それに、香港と言えば・・・彌敦道(ネイザンロード)!。その通りを眺められる部屋は香港初心者龍哥にとっては、持って来いの演出だったようだし。良かった良かった。
荷物を片付けた後、夕方にはまだ早い時間だったが軽い食事に出ようという事になり、『糖朝』のある方にゆっくり歩いていってみた。やっぱりお休みだったので、以前Leslie仲間のTちゃんと入った事のある『大排當』という店に入る。豆腐料理他2〜3品と「嘉士伯(カールスバーグ)」$25也を頼む。二人で$318(約¥5,088)の食事代は高すぎだ〜。
お腹が満足した龍哥は、昼寝をしたいというので部屋でお昼寝をしててもらう事にして、私はすぐお隣にあるHMVへお買い物をする事に。日本で買いそびれていた梅艶芳(アニタ・ムイ)の演唱會のDVDやら、張國榮(レスリー・チャン)のクロスオーヴァーのCDやら、その他諸々の合計は$440(約¥7,040)だった。さっきの食事代より多かった事は勿論内緒。
部屋に帰ると今度は龍哥が散歩に行くという。「あんた、一人で楽しんで来たんやから、俺も一人で出かけるワ。」と言う。しかし…「折角だから二人で出ようよ」なんて、結局強引にくっついて行った。
彌敦道の景色を楽しもうと北に向いて歩こうとしたのだが、地下鉄の出入り口といわずあちこちの道路といわず、それはもう凄い人の洪水が反対に向かって流れている。そういえば、さっきの買い物の時もそうだったような気がするが、その時より人数が増殖しているのだ。なんだか大変な事が起こりそうな予感。興味津々の私達は散策を打ち切って、流れに乗ってみる事にした。
辿り着いたのは香港スペースミュージアムの左側、新世界名店城との間の植え込みの手前だ。そこより向こうは、人がぎっしり詰っていて前には進めない。何も情報は持っていなかったが何故か天神祭りのイメージが涌いてきて、これは絶対に花火が始まるのだと私は確信していた。・・・そう思って、二人でなるべく前に行こうとした時その事件は起きた。
私達の前の一段高くなっているところに若い女の子がいて、そのすぐ後ろに中年のおじさん(私らはそのすぐ後ろ)。おじさんは背が低くてちっとも前がみえないのだが、それでその女の子にそこから降りろと言っているのだ。その場所は植え込みが有って、本当は立ち入り禁止のロープが張られているので女の子の方が悪いのだろうが・・・、女の子は平然と言葉を無視し続けている。しかし、おじさんも負けずに執拗に言い続ける。堪らなくなって女の子はついに口を開いた。「あんた!アタシは何時から此処に来てると思ってんのよ!あんたなんかさっき来たトコじゃない!バカじゃないの!!」その言葉にキレたおじさんは、実力行使で彼女を引き摺り下ろそうとした。彼女は口論とおじさんのしつこさにくたびれたのか、とうとう段から降りてしまった。
・・・とその時、予想どおりの花火がすごい勢いで打ち上げられ始めて、あれほど人がぎっしりでこれ以上前にはいけないだろうと思っていた人垣が、打ち上げ開始をきっかけにドドっと一気に前に詰っていった。あのおじさんと女の子達も、私達よりずっと前にいったらしく姿が見えなくなった。さっきのあの二人の言い合いは、いったい何だったんだろうと私達二人は顔を見合わせて声を出さずに大笑いしてしまった。
相変わらず建物の影なので花火の全貌は見えないのだが、空高く打ち上がる大輪の花火だけでもとても美しい。仕掛け花火や凄く綺麗な花火になる度に、ビクトリア湾の両岸から歓声が湧き起こる。いつの間にか私達は一本の木立の前の広いスペースに立っていた。
すると今度は、木のそばで親子連れが何やらヤイノヤイノやっているのだ。その木は私の肩くらいの所から二股になっていて、親達はどうも我が子をその上に座らせたいと考えてるらしい。既に一人男の子が座っているのだが、女の子の親はお前も上れと言っている。おあいそで「どうしたの?」って親に話しかけたらやっぱり「この子を此処に座らせたいのだ。」と言う。親心は分かるが彼女は5〜6歳くらいながら体重は約30kgはあろうかと思われるポッチャリさん、無理だ・・・とは思ったが龍哥に助けてあげるように私からお願いする。大人3人がかりで押し上げようとするが、「好痛!好痛〜〜〜!(イタイ!イタイよ〜!)」とぽっちゃりさんは泣き声をあげる。しかし、母親はなおも押し上げようとする。5分くらい格闘したが、加勢していた大人たちも最後には諦めてしまった。「そやろ。俺も無理や思ってたんや。」と龍哥。結局、木に登れなかった女の子達も、その場で最後まで花火を楽しんだ。
花火が済んでホテルに戻ろうとしたら、龍哥がWCを探してくれという。ただでさえ公衆WCの探しにくい香港で、こんな夜に見つかるわけがないと内心では思ったが背に腹はかえられぬと思い、一生懸命考えて思いついたのは道路を渡ってすぐの半島酒店(ペニンシュラホテル)のお手洗い。
ここなら、以前訪れた時にもTちゃんと来ているので安心だ。ロビーや階段のゴージャスさに驚く龍哥を連れて、1FにあるWCへ急ぐ。ついでと言ってはなんだが、私も・・・。相変わらずきちんと管理された素敵なWCで、去り際にドアの所にいるおねえさんにチップを渡して出てきた。WCに行っただけで、あれほどリッチな気分にさせてくれるホテルは他には無かったような気がする。あぁそれなのに…龍哥ったら、お掃除のおにいさんにチップ渡すの忘れて出てきちゃったそうなのだ。あんたには、ありがとうって気持ちが無いんか〜。でも、何でアレ香港を代表するホテルを彼に紹介する機会が出来て良かった。帰って来てから、「俺、すごいホテル行ってきたんやで〜。」って得意満面に話す姿を数回見たからね。(笑)
それから、ホテル近くの半分屋台みたいなお店で、「日式小丸子」っていうたこ焼きに良く似た食べ物を見つけたので買って帰って部屋で食べた。でも・・・形は似ていても、味はたこ焼きと似ても似つかぬマズさ。なんでこんなにマズく作れるの?っていうくらい、本当にマズかった。あと、魚のすり身の入ったスープとなんか野菜の入ったスープも買ったけど、これもOUT。売ってくれたおっちゃんは、とっても愛想がよくて良かったんだけどね。
こうして、我々の香港1日目は更けていったのだった。