2003.2.5(水)
今朝の朝食は、昨日皇后餅店で買ったパンとミルク。
せっかく春節の香港に来たんだから、初詣をしようという事になった。お参りにいける所は色々あるが、やはり香港と言えばココと言われる黄大仙(ウォンタイシン)へ行ってみようと地下鉄に乗った。4つ目の駅太子(プリンス・エドワード)で乗り換え、そこからまた4つ目が黄大仙駅だ。
駅を出ると高層マンションの林、その中にある低い古風な中国建築が黄大仙だった。中に入ると、テレビでよく目にしていた境内の風景とは違う光景が展開されていた。
とにかく物凄い人、ひと、ヒト・・・、それに煙だ。お寺全体に人間を押し込めて燻製にしている(笑)感じと言ったら分かって頂けるだろうか。日本の初詣もやはり人だらけで、立錐の余地も無いという場所もある。しかしここでは、その中で(一応簡単なフェンスで区別されてはいるが)ゴザを敷きお供えを山のように盛り、しかも50〜60cmもあろうかという線香に火をつけそれを押し頂いて何度も何度も振るのだ。膝元には、学業成就・家内安全・恭喜發財・・・などなどありとあらゆる御札が並べてある。どれだけの願い事を叶えて欲しくてお祈りをしているのだろう。一人一人が、念入りに祈祷しているのだから煙の量も半端じゃないはずだ。
本殿に向かって右の端に、お御籤用の筮竹を貸してくれる小屋をみつけたので、私が振ってみた。直径10cmほどの竹の筒に箸を立てたように筮竹が並んでいるのだが、それを上手に振って一本だけ落とすのだ。難しいと聞いていたが、何故か一度でちゃんと落とせた。出てきたのは四十八番、$30払ってお御籤を買ったのだが意味が全く分からない。そこで、占いアーケードへ行って結果を聞いてみる事にした。
「日本語できます」の貼り紙の有るおじさんに見てもらう事に。広東語も英語もほとんど解らない私にとっては有難かった。ただ・・・他のブースは人だかりが出来ていると所もあるというのに、その人がとても暇そうにしていたのは気がかりだったけどね・・・。椅子に座ると「お御籤だけじゃなくて、人相も見てあげます。料金は$300です。」という。占いに5000円近くも使うなんてと龍哥にビックリされたけど、またの機会があるか無いか分からないんだからと説得して見てもらう事にした。
まず手を見て「将来お金がたまります。聡明です。仕事線がいいので高貴な仕事が出来ます。」と言われた。「仕事はしていませんが・・・。」と言うと、「高貴な主婦になります。」だって・・・高貴な主婦って何・・・???
今度は顔を見て「小さいときから41歳までは、あまり良くなかった。結婚後は主人は運が良いです。51歳からはあなたも運が良いです。老後は楽に暮らします。長寿です。子どもは心配する事がない。あなたは口が小さいからいつも大変じゃない。手が柔らかいからいつも貧乏じゃない。忍耐がいいです。癇癪ではありません。気立ては・・・強いです。全体に『福』です。」
なんだか良い事ずくめで本当かなぁと思ったけれど、その他いくつか過去の思い当たる事を言われたりもしたので、信じる事にした。将来が明るいんならいいじゃないか、ネェ。私達(私だけ?)は、なんとなくいい気持ちになって黄大仙廟をあとにした。
もうお昼近くの時間になっていたので、今度は旺角まで戻ってみることにした。女人街(ノイヤンガァ〜イ)へ行って、娘や姪っ子達に安いお土産を探す目的もあったからだ。まずは、またまたWC探し。雅蘭酒店(グランドタワー)の地下にレストラン街があるのだが、そこにあるWCに行ってみた。掃除も行き届いていて、清潔感溢れるWCだった。自動の手乾燥機まで完備してあって、チップのいらないWCの中ではかなりポイントは高いのではないだろうか。旺角でWCに困ったら、まずここを探してみたらいいと思う。
お買い物に出かける前にまず腹ごしらえをしようと、同じ地下にある泰越軒(VIETHI
CUISINE)というベトナム&タイ料理のお店に入ってみた。店員さんは可愛い女の子ばかりで、とてもお行儀が良くて居心地も良かった。龍哥はタイ風焼き飯、私はブロッコリーとかぼちゃのグラタンライスを食べたが、味付けは嫌味が無くてどちらも本当に美味しかった。お店を出るときにはみんなで「サワディカープ。」って言ってくれて嬉しかった。
女人街は、「星月童話(もう一度逢いたくて)」の中で家寶(ガーポウ)が瞳を連れて人込みに紛れ、追っ手から逃げまくる場所だ。夜ではなかったので、あれ程の人通りはまだなかったけれど、やはり観光名所でもある場所、そこそこ人は集まってきていた。狭いスペースに無駄の無い陳列、香港人のバイタリティーを象徴する通りの一つだ。色とりどりの蝶々の群れのように舞うレースのパンティー、無数の鍾乳石かと思わせるような足のマネキンに履かせてある色々な柄の網タイツ。あれもこれもとデジカメに納めようとドンドン進んでいく龍哥と、何度はぐれそうになったことか。
そんな中、可愛い髪留めのお店を見つけて、私は足を止めた。全部で20本近く買おうとしたが、言い値どおり買うのもアホらしい値段だったので、値切ってみる事にした。店の娘さんは、日本語が上手でかなり砕けた言葉を話していた。「これはトンボでしょ!これはお花でしょ!これは、これと色が違うのネ!これもいいねぇ〜!」っという調子だった。負けてはいられないので、こちらも「ペンディラ〜!(まけといてよぉ〜!)」と攻める。あちらも、これはもとから安い値段なので駄目だというのだが、そんな筈はない。何分かやり取りした後、2〜3割安い値段にしてもらって買ったが、やっぱり半値くらいまで粘った方が良かったのかなぁ。トンボの事を「ツィンティンでしょ?」って言った時に、「発音上手いネェ!」って褒められていい気分にさせられた時点で負けちゃったのかもしれないな。(苦笑)
ともあれ、可愛い髪留めが沢山買えたのでまあまあ満足だった。
少し疲れたので、ホテルへ一旦戻り龍哥はお昼寝タイムに。私は少し休んでから近くの「優の良品」へ。チョコレートでお茶を濁すお土産は避けようと言っていたが、昔のお金の形をしているチョコや麻雀牌の柄で包装されたチョコを売っているのを見つけたので、それなら春節らしいだろうと買うことに決めたからだ。よくみると、商売繁盛や萬事如意などと縁起のいい言葉が書かれた包み紙のもあり、どれにしようか考えるのも結構楽しかった。ここにも話梅が売られていたが、これは信和中心の下で買ったモノの方がずっと美味しかった。
今日は香港最後の夜。最後くらいはちょっと豪華にと、ビクトリア湾が見えるレストランへ行く事にした。香港文化中心の1Fにある「映月楼(Serenade)」。前回ココへ来たときはTちゃんと飲茶をしにきたのだが、お昼だった為綺麗な夜景は観る事が出来なかったのだった。
2日に花火を観に来て以来、このビクトリア湾が見える場所に来たのは今夜が初めてだ。私が、このレストランに誘わなかったら、一生この夜景は観る事が出来なかったかもしれなかった。アブナイ、アブナイ・・・。
レストランの中は、大きな丸テーブルを囲んでいるグループがいくつもあり、たぶんそれは家族や親戚が一同に集まっているらしかった。親子3代〜4代がお正月を機会に集まって共にご馳走を食べている。少し前まで、日本でもよく見られた光景だなぁと思って彼らを眺めていた。おじいちゃんが孫を膝に抱いたり、いとこ同士が懐かしそうに話あったりしている様子はとても微笑ましかった。私達はその様子と夜景を見ながら、ゆっくりと食事をした。
映月楼は飲茶タイムとは違って、黒服のお兄さんがスマートにサービスをしてくれて、お昼のとは全く違った顔を見せていた。でも…私はどちらかというと、おばちゃん達が点心の小さい蒸篭をワゴンにいっぱい乗せて運んで来てくれるあのスタイルの方が好きかも…。(基本的に『豪華・デラックス』が似合わない。)二人で$342.2の最後の晩餐が終わった。
プロムナードに出てみると、カメラではとても撮りきれないイルミネーションが輝いている。「羊」の字が何色にも変わる物・可愛い羊が何頭も現れてくる物・喜気洋洋と書かれた文字が七色に変わる物等々・・・湾に面した見える限りのビルは全てイルミネーションで飾られているようだった。龍哥もしきりに「すごいなぁ〜。すごいなぁ〜。」と言っていた。普段の夜景もきっと綺麗なんだろうけど、お正月限定のイルミネーションが見られた事は、やっぱり特別な喜びがあった。行きたいお店が正月休みだったり不便な事もあったけれど、この夜景を観た事で二人の満足度が一気に高くなったのは間違いない。
ひとしきり夜景を楽しんだ後、「スターフェリーにも乗ってみたいねんけど…。」と、この際だからと思って言ってみたのだが、「寒いからイヤ!」とあっさり拒否されてしまった。今度来る時は、もう少し暖かい季節を選ばないと再び思ったのだった。。。。
プロムナードをゆっくりと歩いた後、今度は彌敦道へ戻った。重慶大厦の前、入り口の辺りでインド系らしい男の子達十数人がビルに入ってくる人めがけてなにやら突進している。ここは「重慶森林(恋する惑星)」を観た時から興味があったけど、一度も踏み入れた事の無かったビルだった。なぜか嫌がる龍哥を無理やり引っ張って入ろうとすると、やっぱり私達にも男の子達が群がってきて何かを手渡そうとする。渡されたモノを良く見るとインド料理店のチラシじゃないか。ほとんどの店が正月休みで閉まっているビルの中、奥にあるインド料理の店数店だけが営業しているので客引きをしているだけだった。映画で観た魑魅魍魎が渦巻いているような雰囲気は無かったけれど、マッサージでちょっぴり怖い思いをした龍哥はこのビルの怪しさを警戒していたのかもしれない。(旅から帰って近所に住むCちゃんにその事を話したところ、彼はそこの何階かにある招待所で泊まった事があるという。龍哥はひとまわりも若い彼の事を「偉い!」と褒めていた。(笑 )
ビルを出て少し左に歩いた所にシルクの小物を置いている店があった。そこで少しお洒落なスカーフと素敵なポーチを見つけたので、お義母さんのお土産に購入した。あと何点かも一緒に合計$1,059のお買い物になった。
良い買い物ができてほっとしていたら、龍哥の大好きなアイルランド民謡が何処からか聞こえてきた。音に誘われて少し歩くと、あるビルの地下へ辿り着いた。細い階段を下りてドアを開けると、中は結構広いアイリッシュ・パブだった。店員さん達は中国系の人たちだったが、お客は私達以外はヨーロッパ系の人たちばかりだった。「なんか…私ら場違いかなぁ…。」って最初は少し思ったけど、龍哥の気に入る場所が見つかっていつしか二人でいい気分になっていた。夕飯の時間からあまり経っていなかったけど、ビールと何品か食べ物を注文し、しばらく雰囲気を楽しんで店を出た。
明日はもう香港とお別れだなぁ・・・切なくなりながら最後の夜が終わった。