LOVE ATTACK2 憧れの彼に近づくために入った部活も3年目。 今や女子部のナンバー1。 それも単に手塚のために頑張り続けた結果である。 もちろん手塚はそんなことを頼んだ覚えは全くないが、 彼に受け入れられる最良の手段と不二は努力を惜しむことはしなかった。 天分と努力が相俟って短期間でめきめき成長を遂げた不二は、 部内ではもちろん中学テニス界においても手塚と並ぶトップスターとなっていた。 そしてその実力の程は愛しの手塚さまも認めざるを得ないもの。 互いにネットを挟んで打ち合うことも今では珍しいことではない。 ただ、あくまでも部活の仲間としてなわけなのだが・・・。 それでも不二はめげたりしない。 まずは自分の存在をインプットさせることは成功した。しかも結構深く刻み込めたはず。 後はいかに女の子としてお近づきになるかだけである。 最もそれが一番の難関で悔しいことになかなか付け入る隙がないのも事実。 しかもライバルの多さは尋常じゃないときている。 不二のあらゆるモーションも手塚にとっては数多ある中の一つに過ぎず。 カメレオンと化して同じ色に染まっていては手塚が落ちるはずはない。 さてさてどうしたものか。 不二の頭は連日連夜手塚を落とすことでいっぱいだった。 放課後テニスコート――― 女子部も男子部も各練習メニューに取り組んでいる。 活動自体は全く別でもコートは通路を挟んで隣接している。 すぐ近くで愛しい手塚の姿を拝める美味しい時間だ。 『あ!手塚がコートに入る!!』と思った瞬間歓声が上がった。 しかもその殆どが真っ黄色の甲高い声。 つまり、男子テニス部をとりまくギャラリーは大半が女の子という訳だ。 「手塚ぁ〜!頑張れ〜〜!!」不二も負けじと手でメガホンを作って叫んでみるが 「きゃああぁぁぁぁ〜〜〜手塚く〜〜ん!すってき〜〜!!」な雄叫びに叶う筈もなく、 一瞬にして波に呑まれるようにかき消されていった。 ムムム・・・・、手強いな。 しかもフェンスを隔てた隣コートにいる不二よりギャラリーが立ち並ぶ通路の方がよっぽど手塚に近い。 これはアピールせずして勝ち目はないな。 しかし今は練習中、彼もこれだけぐるりと囲まれていれば、こっちのコートまで目に入らないだろう。 そして今から試合とくれば尚更だ。 これはやっぱり行くしかないでしょう! 徐にジャージを脱ぎだし、ベンチに投げ捨てる。 戦闘態勢は整った。 ラケットを持ち、乗り込むそこはもちろん男子部テニスコート!! next / back |