スタイル 3バンドぎぼし切替ダイポールアンテナ

JH0IXE 相宮さんのアンテナを見て決意

 2月にJH0IXE相宮さんの運用を見る機会がありました。その時のアンテナが「ぎぼしダイポールアンテナ」で、7MHzから28MHzメガを自在に切り替えて運用されていました。バンド切替時間は2分とかかっていませんでした。
 アンテナ名の「ぎぼし」とは、電気配線を手で付け外し出来る金属端子のことで、自動車の配線などによく使われているの見掛けます。 写真はぎぼし部分ですが、厚めのプラ板短冊に穴を2つあけて、エレメントを絡ませて、エレメントの張力がぎぼしに直接かかって外れない様に施されていました。
 相宮さん、プラバンとぎぼしを分けていただき、1.9MHzから7MHzの3バンド対応のものを作ることにしました。

頂いた部材で作成開始

 全長約80mある、現用の1.9MHzダイポールアンテナのエレメントをカットして改造することにしました。アンテナ本体の材料は、エレメント切断面に取り付けるぎぼし4組、プラ板短冊(100×15)4枚、コメット社製バラン、サガ電子のエレメント長調整金具2つと、エレメント2巻きです。
 エレメント片側で、左右対称に2カ所カットして、カット部にぎぼしを組み込む単純なものですが、カット位置で同調周波数が変わるので切るときには緊張しました。まずは7MHzですが、「300/7.05(MHz)×0.98(短縮率)/4」の計算で片側のエレメント長が出ますが、7MHzZEPPのエレメント半分に折って見当をつけました。

長いエレメントに苦戦

 頂いたプラ板に、エレメントを絡める穴をドリルで6つ空けました。カットしたエレメントを穴に絡め、アンテナをぴんと張ります。ダイポールは、開き方で同調周波数が変わるので、アンテナを張った状態で測定をやらなければいけません。 長めにカットしたエレメントを徐々に切り、同調周波数を合わせていきます。測定器を持ち合わせていないので、IC706Gのスペアナ機能で同調周波数を見つけ、電卓で切る長さを計算する作業を繰り返しました。
 エレメントが長いため、アンテナ調整の為に、アンテナを上げたり降ろしたり、カットの為に行ったり戻ったりで、かなりの運動量でした。手間はかかりますが、切る過ぎると対処できないので、少しずつ切るのが良いと思います。

ぎぼしは半田付け要らない!?

 調整が終わったエレメントにぎぼしを取り付けます。移動運用で利用している発電機を回して、はんだごてを暖めました。しかしぎぼしは上手く取り付けられません。 ぎぼしは専用工具で取り付けるということを知りませんでした。とりあえず仮付けし、その後ホームセンターで工具を購入しました。ぎぼしも入ったケース入りのセットが1,380円でした。ぎぼしはラジオペンチやニッパーではどうにも手に負えません。
 取り付け時には、ぎぼしカバーをエレメントに通すのを忘れないよう注意してください。私はカバーを先に入れるのを忘れて、何個もぎぼしをお釈迦にしてしまいました。こんな鈍くさいのは私だけでしょうが...

ストレス無い広帯域

 3.5MHzは、7MHzZEPPのエレメントの長さ約20mで見当をつけてカットし、7MHz同様にエレメント長調整をやりました。方法は7メガの時と同様です。回数をこなすと手際も良くなりました。
 両バンドとも、同調周波数から上下50KHzは、SWR1.1でした。短縮なしのダイポールは、とても使用帯域が広く使いやすいです。長くて扱いが大変でも、電波を出すときにストレスがないのが一番です。
 1.9メガは、残ったエレメントを同様につなぎ、エレメント折り返しの長さを調整して完了です。折り返しには、サガ電子のZEPPアンテナで使われている金具を使いました。使い勝手が良く、10個ほど特注して持っています。

滑車がみそ

 写真のように、滑車をポール先端に取り付けました。バラン先端の穴に15mのクレモナロープを結び、伸ばし切ったポールでも、ひもを引っ張って給電部を上げ、緩めて降ろす事が出来るようになっています。ぎぼしの付け外しの為には、必ず必要になる機構です。滑車はホームセンターで200円程でした。
 大きなクリップですが、7MHzZEPPでは、ばんばん引っ張ってもびくともしないのですが、1.9MHzダイポールではあまりの重みで、ちょっと引っ張っただけでポールから外れてしまいました。滑車は、細いロープだとコマの間に挟まってしまう為、隙間が小さいものを選ぶか、太いロープを選ぶのが肝要です。

これならいける

 滑車をポールにバチッとつける為に塩ビパイプを使いました。ポール径よりも少し太い50cm程のパイプです。パイプ上部にドリルで穴を2つあけ、先に輪の付いたねじを通しました。ねじの輪に滑車を取り付けました。ポール先端に被せると、ねじがポール先端に当たって、そこから下にはずり落ちません。金属製ポールが、直接エレメントにふれる事もなく、多少は飛びの良さにも影響しているかも知れませんが?
 これを使ってアンテナを張ってみました。乱暴なエレメントの扱いをしても、外れる事なくポールにくっついてくれていました。我ながら良い方法を思いついたといい気になっていたりします(笑)

大成功

 完成した3バンドぎぼしアンテナを使って、愛知県江南市で移動運用を行いました。 1.9/3.5MHzでは、オートアンテナチューナーを使って、リグのチューンボタンを押すだけで、QSYが出来たのですが、比べると少し手間がかかります。運用地は、エレメントがとても長いので、写真のような場所でないと展開できません。それでも、ダイポール1つで周波数を変える事が出来、満足しています。
 各バンドとも、電波の飛びは良好でした。特に7MHzと3.5MHzは、エレメント先端と大地との高さも稼いでいる為だと思われますが、今まで使用してきたアンテナの中で、もっとも良い性能です。

良いアンテナが出来ました。これからじゃんじゃん使いたいと思います。