(ミニ法話)  こころの泉

   3.強い決意

 ものごとの成就には、まず強い決意をもつことが必要だと思われます。決意が弱いと、何か困難なことにぶつかれば挫折してしまいます。
 次のような説話があります。
 あるとき、竹林の竹が風でこすれあって発火し、山火事となりました。住んでいた獣や鳥たちは、火を恐れて逃げまどいました。多くの動物たちが焼け死んでいくのを見た一羽のオウムが決心をして飛び立ち、泉で羽を濡らして飛んできては羽ばたきをして水を垂らしました。
 何度も何度もこのことを繰り返しましたが、焼け石に水で、山火事は広がる一方でした。オウムはへとへとになりましたが、多くの動物たちを救うために繰り返し水を垂らし続けました。
 その結果、オウムの真心は天上界に通じたのです。帝釈天(たいしゃくてん)は、オウムの行動に感動し、雨を降らせて山火事を消してしまいました。
 また、別の話もあります。
 ブッダが祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)に滞在されていたときのことです。近郊に住んでいる一人の熱心な信者が、ブッダの説法を是非聞きたいものと思って家を出発しました。
 途中、河にやって来ましたが、渡し船の船頭が不在で船は動きません。その信者は、ブッダの説法を聞きたいとの思いで必死でした。そこでそのまま河を渡ろうとすると、不思議なことに地面の上を歩くのと同じように水の上を歩くことができたとのことです。途中で波を見て恐いと思ったときに沈みかけたりしましたが、それでもブッダの説法を聞きたいとの思いが強かったので、無事に岸にたどり着くことができました。
 以上の例話は、強い決意で行動すれば、不可能なことでもやりとげることができるとの説話です。
 行動を起す前に、始めから不可能だと考えてあきらめていたのでは、何ごとも成就することはできません。困難なことであっても、強い決意でもって行動すれば、目的を達成することができるとの教えです。
        (平成17年11月)