(ミニ法話) こころの泉
25.時間を惜しむ
惜陰(せきいん)という言葉があります。光陰すなわち時間が空しく過ぎてゆくことを惜しむという意味です。
人の一生は有限です。このことは、残された人生の時間も有限ということです。多くの人々は、時間のことをあまり考えていないようです。そのため無駄な時間を浪費しているのではないでしょうか。
今しなければならないことがあります。今しかできないことがあります。ところが、面倒くさいから明日にしよう、あるいは後日にすればよいと思って先に延ばしてしまうことが多くあります。このことは有限な時間を無駄にしていることにほかなりません。
道元禅師は、『正法眼蔵随問記』第一で、「学道の人は後日をまちて行道せんと思うことなかれ。ただ今日今時をすごさずして日日時時を勤むべきなり」
と説いています。
学道(がくどう)とは仏道を実践することであり、行道(ぎょうどう)とは仏道を修行することです。したがって、仏道を実践しようとする人は、今日しなければならないことを後日に延ばしてはいけない。ただ今日今時を虚しく過ごしてはいけない。今日この日、今この時を大切にして励まなければならないとの教えです。
時間を大切にするのは仏道だけに限りません。年齢を重ねていくと、時間が惜しくなるといわれております。残された時間が見えてくるからだと思われます。反対に若いときは、いくらでも時間があると錯覚して時間を無駄にしています。
目標をもって一つのことに取り組んでいる人は、時間を惜しみ大切に使っています。
人生で与えられている時間は短いものです。貴重な時間を有意義に使いたいものです。
(平成19年9月)
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