(ミニ法話)  こころの泉

       102.心のもち方

 心は明るくなったり、暗くなったりします。心が明るければ暗い部屋にいても部屋を照らし出すことができるといわれています。暗い部屋にいて心までが暗く沈んでいればどうしようもありませんが、暗い部屋にいても自分の心が明るく輝いていれば、暗い部屋も明るい部屋と同じであるという意味です。
 暗い部屋ではなく、太陽の光が明るく輝いている中にいても、心が沈んでいれば周囲の景色も明るく見えません。美しいものを見ても、美しく感じることができません。心が明るければ、美しい景色はますます輝いて見えます。輝いて見えるかどうかは人の心のもち方によるということです。
 また、こちらの心が欲に満ちた心、怒りの心、憎しみの心をもっていれば、その心は人に伝わります。こちらがそのような心をもっていれば、相手の人はこの人は気にくわない、腹立たしいと思うようになってきます。こちらの心が相手の心に映るわけです。反対にやさしい心であれば、相手もそれを感じてくれます。心と心は互いに反応しあうということです。心のもち方によって、人と人との関係は左右されるといえます。
 「心外(しんげ)に魔障なし」との教えがあります。魔は心の外にあるのではない。心の内にある。自分の心が魔をつくり出しているとの内容です。人は迷うと自分の外にその原因を求めようとします。自心を見ようとせずに自分以外に原因があるとするわけです。このような思いがある限り、ますます迷うことになります。そうではなく自心が原因をつくり出している。迷う心の原因は自心である。自分の心を駄目にするのは自心である。このように気づかなければならないと思います。他人の所為にしている限り、迷いから脱け出すことはできないといえます。心のもち方がいかに大切であるかということです。

        (平成26年3月)