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運転者の義務

◆ 飲酒運転
酒に酔った状態（アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態）で運転すると、５年以下の懲役又は１００万円以下の罰金に処せられ、身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態（酒気帯び）で運転すると、３年以下の懲役又は５０万円以下の罰金に処せられます。
酒気帯びで人身や物損などの事故を起こした場合、その状況にあわせた上記以外の刑罰も加算される事になります。

また、運転者以外の人も、アルコールが体内に残っている状態で運転する可能性がある人に飲酒を勧めたり、運転を黙認したりすると共同正犯として刑法や民法又は、その両方で処罰される事になります。

二日酔いも体内にアルコールが残っていると飲酒運転になります。
体質によりアルコール分解酵素が少ない人の場合、なら漬やウイスキーボンボン、栄養ドリンク等の微量のアルコールが含まれている食品を食べた時にも、体内アルコールが検出される事があり酒気帯び運転になる可能性があるので、ビールや日本酒などの酒類を飲まない人でも注意をする必要があります。

◆ 安全運転
安全運転を怠り、他人に危険や被害を与えるような運転をした場合、３ヶ月以下の懲役又は５万円以下の罰金に処せられます。

= お酒に弱い人 =
お酒の主成分はアルコールと水です。お酒を飲むとアルコールは胃や小腸で吸収されて血液に溶け込み、血流とともに肝臓へ運ばれます。
肝細胞にはアルコールを分解する「アルコール脱水素酵素」と「ミクロゾームエタノール酸化酵素」があり、アルコールをアセトアルデヒドに変化させます。

アセトアルデヒドは毒性が強い有害物質で、悪酔いや二日酔いの原因となります。具体的な症状として顔が赤くなったり、動悸や吐き気、頭痛が起きたりします。
アセトアルデヒドは、肝細胞の中にある「アルデヒド脱水素酵素」によって無害な酢酸に分解された後、血液の流れに乗って全身をめぐり、炭酸ガスと水に分解されて最後はからだの外に出ていきます。

アセトアルデヒド脱水素酵素（ALDH）の働きには人種差・個人差があり以下のタイプに分けられます。
◆アセトアルデヒドが増えないと作用しないタイプ （ALDH1）
◆少量のアセトアルデヒドでも分解を始めるタイプ（ALDH2）

ALDH２の中でも、さらに作用のよいタイプと、作用が弱いタイプにわかれていて、日本人は遺伝的に、作用が弱い、または作用しない人が、約半数を占めているといわれています。（日本人の２人に１人はお酒が飲めないか、弱い人ということになります）

特に女性は一般に男性よりも体重が軽いので、アルコール処理能力に差があり、男性より酔いやすく加えて、女性ホルモンはアルコールの分解に影響を及ぼすため、生理前には、肝臓でアルコールを分解する酵素の働きが女性ホルモンによって阻害され、アルコール処理能力が低下し、酔いが速くなります。

= 道路交通法 =
（酒気帯び運転等の禁止）
第六十五条 　何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
２　 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両などを運転することとなるおそれがある者に対し、車両等を提供してはならない。
３ 　何人も、第１項の規定に反して車両などを運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
４   何人も、・・・（省略）・・・運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第１項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。
（罰則　第一項については第百十七条の二第一号、第百十七条の二の二第一号　第二項については第百十七条の二第二号、第百十七条の二の二第二号　第三項については第百十七条の二の二第三号、第百十七条の三の二第一号　第四項については第百十七条の二の二第四号、第百十七条の三の二第二号）

（安全運転の義務）
第七十条 　車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
（罰則　第百十九条第一項第九号、同条第二項）